
尾崎章 著
「伊勢の風 替え玉屋慎三」
(祥伝社文庫)
廻船問屋尾張屋は、商売敵である遠州屋の差し金で、専売許可札を盗まれ燃やされてしまった。札がなければ船荷が番所を通関できず、店は潰れる。尾張屋に泣きつかれた稀代の策士慎三は、荒事に不向きな筆屋の文七を尾張屋の船に乗せ、見切り発進させる。手本もない札の花押、署名、割り印をどう復元するというのか。江戸から伊勢へ、遠州屋と瀬戸際の攻防が始まる。−裏表紙より−
初めましての作家さんです。新しい作家さんに出会いたくて、、「本が好き」で献本申し込みしました。
替え玉屋慎三というシリーズの2作目ということで、話についていけるか不安でしたが、全然大丈夫でした。
もちろん1作目から読んだ方が、登場人物たちの人となりや状況などがより深くわかるので、もっと面白いと思いますが、話自体は2作目から読んでも楽しめました。
替え玉屋という裏の稼業を持つ慎三。彼の元にやって来た廻船問屋尾張屋は、炭の専売許可札を盗まれてしまったことを打ち明け、取り返してほしいと泣きつきます。
主人が殺され、跡取り息子も放蕩三昧で家に寄り付かないありさまの尾張屋は、商売がうまくいかなければ店をたたむしかない状況にまで追い詰められています。
盗み出したのは、慎三の仲間である辰吉と因縁のある男とわかり、彼の復讐のためにも手を貸すことに。
この慎三という人物がどうしてこんな稼業を始めたのか?や、何よりも彼がどんな人生を歩んできてどんな人物なのかということは、2作目だけあってほとんど語られず。
訳アリの人たちを使って仕事をする、しかも裏の仕事なのですから、しっかりした人物かと思えば、ちょっと抜けたようなところもあって、でもかなりの切れ者でもありそうで、彼の人柄がわからないのがちょっと残念ではありました。
専売許可札の盗難にはライバル店が絡んでいる上に、役人も一枚噛んでいる状況・・。まあこれは予測できる展開ですが、この大ピンチをどうやって逆転するのか、本当にハラハラさせられました。
そんな難題に挑むのが、頭である慎三ではなく、仲間内でも二番手とされる文七という筆屋。本当に大丈夫か?と本人も不安になりますが、色んな人の助けも借りながら何とか成し遂げます。
ハラハラさせられる分、最後は痛快! 読み終わったらスッキリ!でした。
でも、慎三に何か起こりそうな雰囲気を最後に残してあったので、続きがものすごく気になります。
そして何より、1作目を読んでみたい!と強く思ったので、早く手に入れたいと思います。
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