2020年02月21日

富樫倫太郎「SRO[ 警視庁広域捜査専任特別調査室 名前のない馬たち」

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 富樫倫太郎 著
 「SRO[ 警視庁広域捜査専任特別調査室 名前のない馬たち」
 (中公文庫)


その嘶きは、不吉な予告――関東近県で、乗馬クラブオーナーの死が相次ぐ。いずれも死因に不審な点は見られないものの、SRO(広域捜査専任特別調査室)室長・山根新九郎は奇妙な符合を見出す。人間の死と同時に、必ず馬が一頭、逝っているのだ。独自捜査を始めたSROの面々は、やがて北海道のある牧場にたどり着く……。彼らは、馬たちのダイイング・メッセージを読み解けるのか!?そして、最凶キラー・近藤房子の調教ゲームも新たな段階に。【警視庁のワケあり部署が活躍する、大ヒットシリーズ最新作!】−裏表紙より−



SROシリーズも8作目です。そして、偶数作なので、房子おばさんの登場は無し。・・のはずが、少し登場しました。

しかもまた恐ろしいことを画策しているようで、今後の展開が更にエグくなりそうです。自分で殺さず、人に殺させるって、ある意味殺されるより残酷かも。ほんと、恐ろしいことを考え付くおばさんです。


今回の事件は、乗馬クラブのオーナーとそこで飼われている馬の連続死事件。一見、殺人には思えないのですが、あまりにも近くで連続することを不審に思ったSROチームが誰に依頼されたわけでもなく捜査し始めます。

捜査に行ったメンバーが見たのは、用済みとなった馬たちの悲しい末路でした。

今回、殺人よりも、馬たちの生活環境のひどさが辛かった・・。レースで走ることも、人を乗せることも出来なくなり、食用肉としても売れない馬は、ただ餌代や諸経費がたくさん必要なだけの存在。「お金がかかるから手を掛けられない」と言うオーナーの気持ちも多少わからないでもないですけど・・。これならいっそ安楽死をさせてあげたいと思うのは何だかわかる気がしました。

何か方法があったのでは?とも思いますが、小動物ではないだけに飼うのは大変でしょう。維持費はかなりの金額でしょうね・・。


そして何より恐ろしいのは、今回の連続殺人を怖いと思わずに読めた自分自身。房子おばさんの殺人に比べたら全くエグさがなくて読みやすいとさえ思ってしまいました。

なんてこと!


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2020年02月19日

尾崎章「伊勢の風 替え玉屋慎三」

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 尾崎章 著
「伊勢の風 替え玉屋慎三」
(祥伝社文庫)


廻船問屋尾張屋は、商売敵である遠州屋の差し金で、専売許可札を盗まれ燃やされてしまった。札がなければ船荷が番所を通関できず、店は潰れる。尾張屋に泣きつかれた稀代の策士慎三は、荒事に不向きな筆屋の文七を尾張屋の船に乗せ、見切り発進させる。手本もない札の花押、署名、割り印をどう復元するというのか。江戸から伊勢へ、遠州屋と瀬戸際の攻防が始まる。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。新しい作家さんに出会いたくて、、「本が好き」で献本申し込みしました。


替え玉屋慎三というシリーズの2作目ということで、話についていけるか不安でしたが、全然大丈夫でした。

もちろん1作目から読んだ方が、登場人物たちの人となりや状況などがより深くわかるので、もっと面白いと思いますが、話自体は2作目から読んでも楽しめました。



替え玉屋という裏の稼業を持つ慎三。彼の元にやって来た廻船問屋尾張屋は、炭の専売許可札を盗まれてしまったことを打ち明け、取り返してほしいと泣きつきます。

主人が殺され、跡取り息子も放蕩三昧で家に寄り付かないありさまの尾張屋は、商売がうまくいかなければ店をたたむしかない状況にまで追い詰められています。

盗み出したのは、慎三の仲間である辰吉と因縁のある男とわかり、彼の復讐のためにも手を貸すことに。


この慎三という人物がどうしてこんな稼業を始めたのか?や、何よりも彼がどんな人生を歩んできてどんな人物なのかということは、2作目だけあってほとんど語られず。

訳アリの人たちを使って仕事をする、しかも裏の仕事なのですから、しっかりした人物かと思えば、ちょっと抜けたようなところもあって、でもかなりの切れ者でもありそうで、彼の人柄がわからないのがちょっと残念ではありました。


専売許可札の盗難にはライバル店が絡んでいる上に、役人も一枚噛んでいる状況・・。まあこれは予測できる展開ですが、この大ピンチをどうやって逆転するのか、本当にハラハラさせられました。

そんな難題に挑むのが、頭である慎三ではなく、仲間内でも二番手とされる文七という筆屋。本当に大丈夫か?と本人も不安になりますが、色んな人の助けも借りながら何とか成し遂げます。


ハラハラさせられる分、最後は痛快! 読み終わったらスッキリ!でした。

でも、慎三に何か起こりそうな雰囲気を最後に残してあったので、続きがものすごく気になります。


そして何より、1作目を読んでみたい!と強く思ったので、早く手に入れたいと思います。


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タグ:尾崎章

2020年02月13日

買った本

買った本の紹介もかなりたまってきました・・。

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 今野敏 著
 「欠落」
 (講談社文庫)


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 ハートフル・ミステリ傑作選
 「あなたに謎と幸福を」
 (PHP文庫)


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 柴田よしき 著
 「輝跡」
 (文春文庫)


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 山本甲士 著
 「ひかりの魔女」
 (双葉文庫)



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 石川渓月 著
 「よりみち酒場 灯火亭」
 (光文社)電子


いよいよ、電子書籍に手を出しました。

本がたまりすぎてきたので、一旦、電子書籍で読んでみて面白かったら紙の本を買い直そうかな?と。気に入っている作家さんの作品は始めから紙で買う予定ですが。

今のところ、電子書籍でも問題はないかな?

2020年02月10日

ゆきた志旗「Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防」

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 ゆきた志旗 著
 「Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防」
 (集英社オレンジ文庫)


物心ついた頃から“ブス”だったわたし。子供の時に参列した結婚式に憧れて、せめて誰かの幸せな瞬間を演出したいと、ウェディングプランナーの職に就いた。様々なお客様が人生の門出を祝おうとホテルを訪れる。そんなわたしが、やり手の美形上司・久世課長に求婚された!?「香澄さん、ずっと探していました。あなたのような・・・絶世のブスを」「はあ!?(怒)」
−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

文章自体は読みやすかったのですが、何度も出てくる「ブス」「ブス」という言葉にうんざりしてしまいました・・。

美人じゃなくても、心がきれいで、常に前向きに生きているカッコいい女性の話かと思ったのですが、予想よりも主人公が暗めだったのであまり好きになれず。

更に、上司というイケメンから何度も言い寄られるというシチュエーションもイマイチ好きになれず、しかもその上司がやたらと彼女に対して「ブス」と言うのがイライラしました。

この小説って誰が読んだら楽しめるんだろう??

ある程度自分の容姿に自信がある女性? それともブスが好きな男性?

共感できる所も多いですけど、共感したくないし、言葉がとにかく不快でした。

最後まで救いが無かったので、暗い気持ちのまま終了。

シリーズ化されているようですが、私はもういいかな?


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タグ:ゆきた志旗
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2020年02月06日

白鷺あおい「ぬばたまおろち、しらたまおろち」

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 白鷺あおい 著
 「ぬばたまおろち、しらたまおろち」
 (創元推理文庫)


両親を失い、伯父の家に引き取られた綾乃。村祭の夜、サーカスから逃げたアナコンダに襲われた彼女は、危ういところを箒に乗った魔女に助けられる。魔女の正体は、村に来ていた女性民俗学者。怪我を負った綾乃は、救い主の母校で治療を受け、そのまま入学することに。だがそこは、妖怪たちが魔女と一緒に魔法を学ぶ奇妙な学校だった。第2回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

久々にしっかりと濃い内容のファンタジーを読んだ気がします。

若干、話が長すぎて、だれが誰だったか混乱する部分もありますし、時代を超えて話が進むので、今がいつなのか、どういう状況なのかを把握するのがなかなか大変でした。

とりあえず、間を空けずに一気に読む方が理解しやすいかも。


綾乃という少女が、伯父さんの家で過ごす日常の様子からスタートします。

両親を亡くしたということ以外は、どこにでもいるような少女に思えるのですが、どうやら彼女には秘密の友達がいる様子。その友達は、人間ではなく、蛇でした。なぜか蛇と会話が出来る綾乃。

彼の住んでいる川で泳いだり、その日あったことを話したりするうちに、どんどん親しくなっていきました。何だか恋人同士のようです。

蛇と人間の恋??とちょっと引いてしまうのですが、とても純粋な2人なので何とか読むことが出来ました。

途中から雰囲気がおかしくなっていくんですけどね・・。蛇の名前はアロウ。アロウには何やら綾乃に言えない隠し事がありそう。親密になればなるほど、アロウの言動が怪しくなっていくので心配にもなりました。

もちろん、その秘密については後々明かされていくのですが。



伯父さんの家がある村には、民俗学者の女性が訪ねてきていました。その女性・由希恵は伯父さんの家に泊まることになり、きれいなその女性に綾乃は憧れを抱くようにして親しくなっていきます。


由希恵にお供して、あるサーカスを見に行った綾乃は、そこの見世物になっていたアナコンダを見ることに。ところが、アナコンダが逃げ出し、なぜか綾乃に襲い掛かってきてしまいます。

川に引きずり込まれるようにして襲われる綾乃を救ったのは、由希恵でした。しかも箒に乗っています。

瀕死の状態で救い出された綾乃を、どこかへ連れて行く由希恵。そのまま、由希恵が卒業した学校に行くことになりました。


その辺は、驚くほど展開が早いので、読むスピードもあがります。

綾乃が入学した学校は、魔女はもちろん、妖怪までが一緒に勉強する特別な学校でした。綾乃と同室になったのはのっぺらぼうの絵葉。彼女はなかなか頼りになる存在になってくれそうです。

学校生活は充実していますが、魔法の知識のない綾乃には大変です。とはいえ、蛇と会話出来るだけでも十分変わった能力をもっているということなんですけど。

そこで知り合った、由希恵の弟・雪之丞とは、仲良くなりたいのにいがみ合う、もどかしい関係に。彼はとても大きな役割を担っていくことになります。


最後の方にはどんどん恋愛要素が増えて行ったのでその辺が私的にはひっかかりますが、物語はまだ始まったばかりです。続きも読んでいくことにします。


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タグ:白鷺あおい

2020年02月04日

1月のまとめ

欠落 (講談社文庫)欠落 (講談社文庫)
シリーズ第2弾。前作をすっかり忘れていましたが、全然大丈夫でした。相変わらず面白いです。若干、同期の女性を気にしすぎではありますが。このまま何事もなく事件だけが進んでほしいです。
読了日:01月04日 著者:今野 敏


よりみち酒場 灯火亭 (光文社文庫)よりみち酒場 灯火亭 (光文社文庫)
不思議な魅力を備えた女将・ユウさんと美味しい料理、そして温かな雰囲気の店内。それらに癒されるお客さんたちの物語。色々な悩みや問題を抱えて暖簾をくぐれば、全てはすっきり解決!?
読了日:01月10日 著者:石川 渓月


ときどき旅に出るカフェ (双葉文庫)ときどき旅に出るカフェ (双葉文庫)
相変わらず読みやすい文章で、世界の美味しそうなスイーツや飲み物が出てきて、どんな見た目なのか想像しながら読むのも楽しかったです。ちょこっと謎が入ってくるのも良い感じでした。これ以上重いミステリだったらくどく感じたかも。居心地の良いカフェって素敵。
読了日:01月15日 著者:近藤 史恵


平成大家族 (集英社文庫)平成大家族 (集英社文庫)
なんというか、どうにも視点というか、だれ目線で語っているのかわからない文章が多くて戸惑ってしまいました。表現方法に慣れたころに終了。家族は色々な形があります・・。一番近いのに、意外と本音が言えないのが家族なのかも。
読了日:01月23日 著者:中島 京子


ぶたぶたのシェアハウス (光文社文庫 や 24-26)ぶたぶたのシェアハウス (光文社文庫)
美味しそうな料理と最高の癒し。いつものぶたぶたさんがいてくれて本当にうれしいです。娘さんや奥さんもたくさん登場してくれたのがまたうれしいです。ちょっとした謎も解明?されたので、今度はぶたぶたさんの家族にスポットを当ててもらいたいです。どんな家庭なんだろう?気になります。
読了日:01月26日 著者:矢崎存美



全部で5冊。 特に印象に残ったのが「よりみち酒場」「ときどき旅に出るカフェ」です。

どちらも飲食店関係の話だな・・。食欲が止まりません!

posted by DONA at 15:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ