
本城雅人 著
「騎手の誇り」
(新潮文庫)
十二年前の落馬事故――。その真相を知るために、息子・和輝(かずき)も騎手となり、かつての父の好敵手で、不動のトップ騎手・平賀と同じ厩舎に入った。父は、本当は平賀に殺されたのではないか……。新人競馬担当記者・仁美(ひとみ)とともに事故の謎を追う中で、平賀のある秘密に気づいた和輝は、自らの身にも迫る危険を感じ取る。亡き父と息子の絆に涙する、長編ミステリ。『サイレントステップ』改題。−裏表紙より−
初めましての作家さんです。ネットで感想を読んで面白そうだったので読んでみました。
はっきり言って、競馬には興味もないですし、馬券を買ったこともありません。でも、なぜか日曜日にはテレビで競馬中継を見ている・・。全く興味はないのですが、家族で見る人がいたもので。
馬のことも、騎手のことも、勝敗についても、レース内容についてもわかりませんが、見ていると走っている馬のきれいさには惹かれました。
無駄な肉のない細い足腰、なびく鬣はとても魅力的です。そして、蹄の音もカッコいい!
どの馬が走りそうかなんてことはわかりませんが、漠然と「きれいな馬だな」程度の感想は浮かびます。
騎手の乗り方も素敵です。ものすごく大変な職業だろうということはわかっていました。とにかく乗るときの姿勢が大変そう。その姿勢をレースの間保っておいて、更には鞭を振ったり、何よりも馬を手綱一つで操っているなんて!
そんな浅い知識しかない私が読んでもわかりやすい内容でした。
ある騎手の成長物語でありながら、彼の父親の死亡事故の真相を探るミステリでもあり、読みごたえもありました。
レースでは決してはかり知ることができない、裏の努力の部分もたくさん知ることが出来ました。
それぞれ属する団体があって、その中でも優秀な馬に乗れるのは1人だなんて・・。全く知らなかったので驚きました。
馬主からの要請によって、騎手も選ばれて、勝ち馬に乗る騎手は始めから決まっていて、成績の良い騎手は勝てる馬に乗れるということなんですね。
たくさん勝てる騎手は、環境にも恵まれるってことで、その他の騎手は馬を選ぶことも、レースの進め方を自分で選ぶことも出来ない。なかなか大変な世界です。
新人の頃は雑用に追われるし、勝ちを収めるのもかなり大変そうです。
ミステリ自体はまあそんな感じだろうという収まり方でしたが、必要だったかな?という感じもしました。ミステリはなくても、ただ一人の騎手の成長物語でも良さそうです。
競馬って、レースそのものよりも、裏側の方が楽しいのかもしれないと思うようになりました。
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