2019年12月23日

今井絵美子「行合橋 立場茶屋おりき」

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 今井絵美子 著
 「行合橋 立場茶屋おりき」
 (ハルキ文庫)


行合橋は男と女が出逢い、そして別れる場所―品川宿にある立場茶屋おりきの茶立女・おまきは、近頃度々やって来ては誰かを探している様子の男が気になっていた。かつて自分を騙し捨てた男の顔が重ったのだ。一方、おりきが面倒をみている武家の記憶は戻らないまま。そんな中、事件が起きる・・(「行合橋」)。亀蔵親分、芸者の幾千代らに助けられ、美人女将・おりきが様々な事件に立ち向かう、気品溢れる連作時代小説シリーズ、待望の第二弾、書き下ろしで登場。−裏表紙より−


「はまゆう」「行合橋」「秋の果て」「名草の芽」「別れ霜」の5編収録。


早めに読むと言いつつ、前作を読んでから2年以上経ってしまいました。お陰で細かい部分はすっかり忘れてしまっていました。


読みながら、そういえば立場茶屋ってどんな店なのかよくわからないんだったな・・とか、おりきの人柄とかを少しずつ思い出す感じでした。

結局、立場茶屋の意味がよくわからないですけど、とにかくランチもやっているカフェのような感じだろうとは思います。ウェイトレスと料理人がいて、それぞれの役割も現代と同じ感じです。


常連さんは顔を覚えられて、少しすいている時間に来ているお客さんは、店員さんとも話す機会が増えて、色々と細かい事情も知っています。そうなると、その事情によっては店員さんが巻き込まれ、巻き込まれた店員さんを気遣って女将のおりきも巻き込まれていく・・という展開が多くなっています。


現代と違って、電話やメールなんかが無いせいで、もどかしい状態になることもしばしば。

例えば、おりきの所で預かっている、記憶を無くした武士なんかのことも、ネットで情報を求めたらすぐに素性がわかりそうですが、この時代なのでどこの誰だかわからないまま話が進んでいきます。

そんな武士とおりきとの間にちょっと素敵な雰囲気が流れ始めたと思ったら・・・。


おりきの過去も少しずつ明かされていっていますが、まだ細かい事情が残っていそうです。

そして、武士の素性はどういうものなのか? おりきとの関係はどうなるのか? 

色々と気になることが満載状態で終わってしまったので、今度こそ早めに読もうと思います。


<立場茶屋おりき>
「さくら舞う」


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タグ:今井絵美子

2019年12月18日

今野敏「流行作家は伊達じゃない」

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 今野敏 著
 「流行作家は伊達じゃない」
 (ハルキ文庫)


流行作家・今野敏はどう生きてきたのか―。北海道の信号のない町に生まれて五十八年。漫画家に憧れていた少年は、いつの日か詩を書き始め、ジャズと空手に出会い、そして作家への道を歩んだ。初恋の淡い思い出。高校での寮生活や大学進学での上京物語。就職したレコード会社での苦労話など・・著者の軌跡を綴った自伝エッセイ。東京湾臨海署シリーズでおなじみ、安積&速水の警察学校での青春の日々を描いた、特別書き下ろし短編「初任教養」も収録。作家生活三十五周年記念!ファン待望の一冊。−裏表紙より−


読んだという記録のために書きます。

エッセイというか、作家さんの自伝にあまり興味がないので、書下ろし短編だけ読みました。

安積係長は、学生時代から冷静沈着で、中年のようですし、速水は熱い男でした。2人の変わらない人柄が読めて面白かったです。


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2019年12月12日

大門剛明「完全無罪」

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 大門剛明 著
 「完全無罪」
 (講談社文庫)


21年前の少女誘拐殺人事件の冤罪再審裁判に抜擢された期待の女性弁護士・松岡千紗。しかし、その千紗はその事件で監禁された少女の一人だった。間一髪で自分を殺めたかも知れない容疑者に千紗は敢然と対峙する。罪を作り出す罪、「冤罪」法廷が迎える衝撃の結末。大ベストセラー『雪冤』を超える傑作。−裏表紙より−


子ども時代に誘拐され、危うく殺害されそうになった経験のある女性弁護士が、その犯人とされている容疑者の冤罪再審裁判に弁護人として法廷に立つことになります。

事件の真相が知りたいという強い気持ちだけで弁護を引き受けることになるのですが、対峙してみて複雑な心境になっていきます。

冤罪だとしたら、真犯人を絶対に逮捕して収監しないといけませんし、今犯人として収監されている人の人生を取り戻す必要があります。

それは必要だとわかるのですが、もしかしたら容疑者がいい加減なことを言っているだけで、実は犯人かも??という可能性もあるので、読んでいてハラハラしました。


なぜ彼女が引き受けないといけないのか? 誰か代わってあげて!という気持ちと、でも彼女以上にこの事件に真剣に向き合える人がいるだろうか?とも思います。

容疑者と話をするうちに、やっぱり真犯人は別にいるのかも?と思うような内容が出てきたり、証拠になるような物や事柄が出てきたりして、じゃあ真犯人を捜さなければ・・と思うことも。

でもその次の瞬間には、やっぱり彼が犯人なんだと思う証拠が出てくるんですよね・・。

その度に、読みながらも二転三転させられてしまいました。


あらすじにあるように最後は衝撃の結末が・・。

裁判を終わらせてそれで終わりという結末だったらためだったのかな?とちょっと悲しい気持ちになりましたし、読んだ後は深いため息が出てしまいました。


ほんと、人が人を裁くって難しいし、責任が重いことだと改めて考えさせられました。裁判員裁判やってみたい!なんて軽い気持ちで言ったらだめですね・・。もし自分が違う判決を出したらと思うと、殺人と同じくらいの罪の重さを感じてしまいそうです。


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2019年12月10日

近藤史恵「シャルロットの憂鬱」

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 近藤史恵 著
 「シャルロットの憂鬱」
 (光文社文庫)


シャルロットは六歳の雌のジャーマンシェパード。警察犬を早くに引退し、二年前、浩輔・真澄夫婦のところへやってきた。ある日、二人が自宅に帰ってみると、リビングが荒らされており、シャルロットがいない! いったい何が起こったのか。(表題作)いたずら好きでちょっと臆病な元警察犬と新米飼い主の周りで起きる様々な“事件”―。心が温かくなる傑作ミステリー。−裏表紙より−


表紙の絵にもなっているし、何度も「シェパード」と書かれているのにも関わらず、読み進める度に可愛らしい小型犬を思い浮かべてしまっていました。

シャルロットという名前も小型犬ぽいからかな?ふさふさした毛並みの可愛らしいというか、高貴な雰囲気の犬って感じがします。

警察犬としての仕事をケガで引退したシェパードのシャルロットを飼うことになった夫婦。犬を飼うのが初めてなので大型犬に少し戸惑っていましたが、きちんとしつけされている分、逆に育てやすいだろうということで、彼らの家にやってきました。

しつけがきちんとされているから、無駄吠えはしませんし、散歩中に走り出して飼い主を引っ張りまわすようなこともありません。もちろん人を噛むこともありませんから、散歩にも行きやすいようです。


そんな彼女が吠えるときは、近所に空き巣が入ったり、悪質なセールスに困っている人などに気づいたとき。異常があるときだけ吠えるので、吠えたら事件か何かが起きているということで、始めは怖がっていた近所の人たちにも重宝がられます。

見た目は大きくて怖そうに見えますが、いたずら好きで実は怖がりで、甘えん坊な彼女のことがどんどん好きになっていきました。また、飼い主の夫婦も犬を飼うのが初めてとは思えないくらい、犬の気持ちや考えがわかっていて、しっかりとかわいがってしつけて一緒に暮らしています。


そんな夫婦とシャルロットが巻き込まれる事件やご近所のちょっとした謎を解決していく様子が描かれています。奥さんが気にして、シャルロットがいつもと違う行動を起こして、旦那さんが解決!という流れが多かったです。


犬って苦手ですけど、こんなに従順で可愛かったら犬も良いななんて思ってしまいました。子犬のときもかわいいでしょうけど、しっかりしつけられているかしこい犬なら一緒に散歩に行くのも楽しいかも??

まあ、自分が犬を飼うことはないでしょうけどね・・。


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2019年12月09日

山口恵以子「愛は味噌汁 食堂のおばちゃん3」

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 山口恵以子 著
 「愛は味噌汁 食堂のおばちゃん3」
 (ハルキ文庫)


オムレツ、エビフライ、豚汁、ぶり大根、麻婆ナス、鯛茶漬け、ゴーヤチャンプル―・・・昼は定食屋で夜は居酒屋。姑の一子と嫁の二三が仲良く営んでおり、そこにアルバイトの万里が加わってはや二年。美味しくて財布にも優しい佃の「はじめ食堂」は常連客の笑い声が絶えない。新しいお客さんがカラオケバトルで優勝したり、常連客の後藤に騒動が持ち上がったり、一子たちがはとバスの夜の観光ツアーに出かけたり―「はじめ食堂」は、賑やかで温かくお客さんたちを迎えてくれる。文庫オリジナル。−裏表紙より−


「歌と麻婆ナス」「寂しいスープ春雨」「愛は味噌汁」「辛子レンコン危機一髪」「モツ煮込みよ、大志を抱け」の5編です。


シリーズ3作目ですが、前作が昔の話に戻っていたので、進み具合は2作目という感じですね。

1作目からかなり間が空いてしまったので、人間関係がちょっと忘れている部分もありました。とはいえ、別に困ることもないですけど。ただ、勝手に二三さんの子どもが男の子だと思っていたので、女性だったことに戸惑いました。なんでそう思っていたのか・・??


今回も食堂にやってくるお客さんたちの色々な事情や謎を解決していく一子と二三、そしてアルバイトの万里。まあ基本的に万里はあたふたしているだけという感じですが。でも万里は料理の面でかなり戦力になってくれているので一子と二三は楽になってきたようです。

今までの定番メニューに加えて、万里の若い感性で新たなメニューも登場するようになった食堂は、ますますお客さんを増やしています。


どの話もあったかい雰囲気で癒されたのですが、特に「愛は味噌汁」では泣きそうになりました。

万里の同級生が店にやってくるのですが、学生の頃は男性だったはずの彼が、女性へと変わっていました。最近ではそういうことにも理解が得られるようになってきているとはいえ、身内となるとまだまだ簡単には受け入れられないようで、親に反対されてしまっています。

絶縁状態になっている彼女のために、はじめ食堂のみんなが手助けをしていきます。

もちろん、簡単に「良いよ」とはなりませんが、これから前向きに受け入れようとはしてくれるようで、安心できました。自分だったらどう思うのか?を考えながら読んでいました。



最後の話では、テレビの取材までやってくることに。肩に力が入ってしまう万里に、一子と二三は「いつも通りで良い」と声を掛けますが・・。

この話は万里の気持ちもわかるな〜と。若さゆえの力の入り方です。テレビとなると余計に気合が入るのはわかる気がします。

この取材でますますお客も増えそうです。


またドタバタの展開になることでしょう。次も読んでいくことにします。


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タグ:山口恵以子

2019年12月06日

買った本 かなりまとめて

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 濱野京子 著
 「ことづて屋」
 (ポプラ文庫)


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 今野敏 著
 「回帰」
 (幻冬舎文庫)


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 乃南アサ 著
 「来なけりゃいいのに」
 (祥伝社文庫)


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 西條奈加 著
 「みやこさわぎ」
 (創元推理文庫)


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 山本甲士 著
 「ひなた弁当」
 (小学館文庫)


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 長岡弘樹 著
 「血縁」
 (集英社文庫)



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 加納朋子 著
 「我ら荒野の七重奏」
 (集英社文庫)


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 西條奈加 著
 「九十九藤」
 (集英社文庫)


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 知野みさき 著
 「雪華燃ゆ」
 (光文社文庫)


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 高田郁 著
 「あきない世傳金と銀<七>碧流篇」
 (ハルキ文庫)



全部読んでしまっていますが、ずっと紹介し忘れてたので一気に・・。

2019年12月03日

柚月裕子「慈雨」

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 柚月裕子 著
 「慈雨」
 (集英社文庫)


警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。旅先で知った少女誘拐事件は、16年前に自らが捜査にあたった事件に酷似していた。手掛かりのない捜査状況に悩む後輩に協力しながら、神場の胸には過去の事件への悔恨があった。場所を隔て、時を経て、世代をまたぎ、織り成される物語。事件の真相、そして明らかになる事実とは。安易なジャンル分けを許さない、芳醇たる味わいのミステリー。−裏表紙より−

最近お気に入りの作家さんです。

・・が、細かい部分はすっかり忘れてしまいました。

「慈雨」という題名がしっくりくるような内容だったことは覚えています。退職後の警察官がお遍路に行っているときに起きた事件が過去に扱った事件と酷似していて、もしかして冤罪??という状態になって悩む・・。


お遍路姿と雨がぴったりな内容。


またいつか再読して感想をあげたいです。



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タグ:柚月裕子

2019年12月02日

11月のまとめ

ことづて屋 (ポプラ文庫ピュアフル)ことづて屋 (ポプラ文庫ピュアフル)
ちょっと乗り切れない感じがありましたが、それなりに面白かったです。死者からの声が聞こえるって大変そう・・。伝えられた人たちも亡くなった人たちも穏やかな気持ちになれる様子が心地よかったです。登場人物たちがイマイチつかめない感じだったのが残念。
読了日:11月06日 著者:濱野 京子



回帰 警視庁強行犯係・樋口顕 (幻冬舎文庫)回帰 警視庁強行犯係・樋口顕 (幻冬舎文庫)
この作家さんらしい主人公の描き方。いつも曲げない信念を持っていて、でも他人の意見に納得出来たらきちんと認める柔軟さもあって、本当にカッコいい。こんな上司なら働き甲斐がありそうです。このシリーズの部下たちには名前もないんですけどね・・。これも大好きなシリーズなので、次々書いてもらいたいです。
読了日:11月13日 著者:今野 敏


来なけりゃいいのに (祥伝社文庫)来なけりゃいいのに (祥伝社文庫)
何かにとりつかれたような女性ばかり登場。同じ女性として、多少の嫉妬や妬みなんかは共感できるのですが、あまりにも過剰な反応をするのを見るとドン引きです・・。周りにこんな人たちいなくて良かった〜と思う話ばかりでした。
読了日:11月15日 著者:乃南 アサ


雪華燃ゆ: 上絵師 律の似面絵帖 (光文社時代小説文庫)雪華燃ゆ: 上絵師 律の似面絵帖 (光文社時代小説文庫)
恋仲の二人もほんの少し進んだ感じで、ほほえましく読みました。それまでがもどかしかったですけど・・。上絵師としても少し成長?? 今後も楽しみです。
読了日:11月21日 著者:知野 みさき


血縁 (集英社文庫)血縁 (集英社文庫)
以前読んだ短編が面白かったのでこちらも読んでみたのですが、何とも後味の悪い話が多くて・・。救いのある話にはホッとしましたが、それ以外が多いので気分が沈みました。特に血縁は・・。ちょっと間を置きたい感じです。
読了日:11月27日 著者:長岡 弘樹




またまた少な目でした。何だか一日が終わるのが早いんですよね・・。

感想もまだまだ追いつきません。

特に印象に残ったのは「回帰」です。

posted by DONA at 14:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ