2019年10月30日

乃南アサ「家族趣味」

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 乃南アサ 著
 「家族趣味」
 (廣済堂文庫)


夫と中学生の息子をもちながら家族も仕事も趣味と断言、若い男たちとの恋も奔放に楽しんできた主人公。そんな日常が突然、呆気なく壊れていく・・。
表題作をはじめ、宝石のとりこになった女性の執念を描く「魅惑の輝き」、人望の厚いやり手課長の豹変を描く「忘れ物」など、人間の心の闇を抉った傑作短編5編。
−裏表紙より−


こういう、人間の心の闇みたいなものを描くのが本当に上手な作家さんです。

全ての作品がゾクッとする内容になっていました。


表題作の「家族趣味」は、最終話なのですが、最後に最大級のゾクッとを詰め込んで終わりました。始めはほのぼのとした雰囲気だったのに、徐々に怪しくなっていき、最後は・・。

周りから見ると、お互い名前で呼び合うような家族は仲良さそうですけど、よく考えたら親のことを名前で呼んでいるのはやはり変ですね。仲が良いというか、けじめがない感じにも思えます。

家族って、外から見るのと内の事情は違うもんですね・・。一度壊れたらとことんまでバラバラになっていく感じが怖かったです。この家族は修復不可能だろうな・・。


魅惑の輝き」も怖かったです。買い物依存症、この話に出てくる女性は中でも宝石に依存しています。私は全く買い物が好きではないので、買い物依存症になる心配は無いですけど、女性は多いようですね。

ブランド物の良さや宝石の魅力が全くわからないので共感は出来なかったのですが、「これ」と思ったら押さえられない感情というのは何となくわかります。

それでも大抵の人は抑えきらない感情を抑えて生きているのですが、一度外れたら止まらないのが怖いです。

気に入った宝石を手に入れるために堕ちる所まで堕ちていく状況。怖い世界です。


大好きな作家さんなので、まだ読んでいない本を見つけたら、どんどん読んでいく予定です。


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2019年10月24日

上橋菜穂子「精霊の木」

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 上橋菜穂子 著
 「精霊の木」
 (新潮文庫)


環境破壊で地球が滅び、様々な星へ人類は移住していた。少年シンが暮らすナイラ星も移住二百年を迎えるなか、従妹のリシアに先住異星人の超能力が目覚める。失われた<精霊の木>を求め、黄昏の民と呼ばれる人々がこの地を目指していることを知った二人。しかし、真実を追い求める彼らに、歴史を闇に葬らんとする組織の手が迫る。「守り人」シリーズ著者のデビュー作、三十年の時を経て文庫化!−裏表紙より−


この作家さんのデビュー作ということで、読んでみました。

デビューの時からこんなに複雑な世界観と人物像を描いていたなんてすごい!

複雑な内容で所々わかりにくい場面もありました・・。

詳しい内容を忘れてしまったので、またいつか再読して感想を書きます。


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2019年10月23日

大山淳子「あずかりやさん」

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 大山淳子 著
 「あずかりやさん」
 (ポプラ文庫)


「一日百円で、どんなものでも預かります」。東京の下町にある商店街のはじでひっそりと営業する「あずかりやさん」。店を訪れる客たちは、さまざまな事情を抱えて「あるもの」を預けようとするのだが・・。「猫弁」シリーズで大人気の著者が紡ぐ、ほっこり温かな人情物語。
−裏表紙より−


この文庫の表紙の上に、更にカバーが掛けられて売られています。

そのカバーにはこう書かれています。

それは、栃木の本屋さん「うさぎや」から始まった。「この本を一人でも多くの人に読んでほしい!」書店員たちの情熱は、オリジナルカバーやのれん仕掛けとなって結実し、2500冊という驚異の売り上げを記録することになったー。

つまり、元のカバーでは売れ行きがイマイチだったけど、オリジナルカバーを付けたら売れてきた・・ってこと!?なんだかびっくりな展開です。

カバーのせいばかりではないのでしょうが。書店員さんたちがそんなに薦める本なら面白いだろうと、貸してもらったので読んでみました。


この作家さんは猫弁シリーズを読んで馴染みがあるのですが、視点がコロコロ変わるのが読みにくいと思っていたので心配でした。今回はそこまで気にならずに読めましたが、視点が物だったりするのが読みにくかったです・・。


一日百円で何でも預かる、という店が舞台になっています。一日百円はコインロッカーを考えても安いですね。そして、期限内に取りに来なかったら、その預かり物は店主の物になるというシステム。

一見、良いね!って感じのシステムですけど、要らない物を捨てに来る人がいそうで心配です。実際、そういう人もいたようです。今時、物を捨てるのにもお金がかかるわけで、百円で捨てられたらラッキーですもんね。


店主は全盲の男性。だから、預かる物がどんな物なのか細かくは知ることが出来ません。それでも、持ち前の鋭い感性で、預けに来た人の事情や物の存在意義などを推理していくことで、色んな人たちを助けていきます。

そんな店主のことを、店先に掛けられているのれんや、客の座る座布団、店にあるガラスケースなどが温かく見守りつつ、語り部となって物語を進めていきます。


終始、温かい雰囲気の流れる物語でした。特に大きな盛り上がりもなかったですが、ほっこりできる内容で、殺伐とした小説などを読む合間に読むにはぴったりです。

続編も出ているようです。彼がどんな人生を歩んでいくのか気になるので、いつか読んでみようと思っています。


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タグ:大山淳子
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2019年10月21日

買った本

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  伊坂幸太郎 著
 「アイネクライネナハトムジーク」
 (幻冬舎文庫)


気になっていた作品です。やっと買って読めました。


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 富樫倫太郎 著
 「SRO[」
 (中公文庫)


ずっと追っているシリーズ。グロさがマシなのが、物足りなく感じるのが怖い・・。


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 ゆきた 志旗 著
 「Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防」
 (集英社文庫)


ネットでの感想を読んで面白そうだったので購入。


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 「警官の目」
 (双葉文庫)


アンソロジーです。お気に入りの作家さんが入っていたので購入です。

2019年10月07日

山本甲士「がんこスーパー」

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 山本甲士 著
 「がんこスーパー」
 (ハルキ文庫)


リストラの憂き目に遭いつつも転職口が見つかりホッとしていた中年男・青葉一成。だがそれもつかの間、今にも潰れそうな弱小スーパーの副店長として派遣されることになってしまう。ミッションはもちろん売り上げアップ。しかし、店長には他店のスパイと疑われ、パートの面々もやる気なし。逆境のなかで、ある日ご近所の老女からヒントを得た青葉は、崖っぷちスーパー再生のために立ち上がる! 第二の人生を豊かにしたい人へ贈る、栄養満点の温かな物語。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

いきなり主人公がリストラされそうになっているところからスタート。でも彼・青葉は転職口があるので安心していたら、実はその就職先が潰れそうなスーパーだったとわかり、一気に落ち込みます。

近くに大手スーパーがあって、ほとんどの客を取られてしまっている状況のスーパー。その店をどうすれば立ち直せるのか?

スーパーの副店長という立場で行ったところ、店長からはスパイと疑われ、なかなか意見が通りません。そういうときに味方にすべきはパートのおばさまたち!

色々と話を詰めていくと、実はおばさまたちにも意見があって、それを取り入れていったら、青葉の意見も聞いてくれるようになります。こうやってうまくいくのは、パートさんたちがやる気がある場合だけですけどね。もしとりあえず自給さえもらえれば、という考えの人ばかりだったら、働く環境を変えようなんてこと思わないでしょうから。


まず始めたのは、お客さんに親身になって対応すること。来てくれる数少ない客を逃がさないでおこうという作戦です。笑顔で挨拶をし、手助けが必要なら声を掛け、何でもいいから会話をする。たったこれだけでも、パートさんも笑顔が増え、明るい雰囲気になりました。

確かに良い方法ですね。でも、私のように知らない人とは会話したくない人間にとっては、行きたくないスーパーですけど・・。


次に改革したのが、地元で採れる野菜の販売でした。「がんこ野菜」と名付け、地元の人が作った野菜を、作った本人の設定した値段で販売します。その野菜を使ったお惣菜も販売したところ、高評価!

お陰でどんどん経営も持ち直してきます。そうなると、少し余裕も出てきて、店内の細かい部分を修理したり、改装したりすることも出来て、良い方向に転がっていくんですね。


はっきり言って、こんなに簡単に経営が持ち直すなら苦労しないよ!というご都合主義的な展開なのですが、この話の場合はこれで良いと思います。とはいえ、もう1〜2回くらい何か展開があっても良かった気はしますけど・・。もう少しページ数を増やして。

大手のスーパーに出来ないことを、地元の小さいスーパーがやってくれたら、利用客としては本当に助かりますし、理想的ですよね。2軒回ればすべて揃うという状態になれば本当に素敵。

最後のオチも何となく見えてしまいましたが、想像通りの展開になってくれたことで、安心して読み切ることができました。


初めて読んだ作家さんでしたが、他も面白そうなので読んでみようと思っています。


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タグ:山本甲士
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2019年10月04日

霜月りつ「神様の子守はじめました。3」

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 霜月りつ 著
 「神様の子守はじめました。3」
 (コスミック文庫α)


次世代の白虎・朱雀・青龍・玄武の四神を育児することになった普通の人間である羽鳥梓は毎日起こるトラブルにてんやわんや。外道に堕ちた魔縁天狗に襲われたり、他の神様のいさかいに巻き込まれたり。その上、毎日の生活費もばかにならず、なんとか賄おうと神子たちと一緒にバイトをするハメに。まだ幼児の神子たちに人間の生活を教えていく梓だったが近所の人々との交流も増え、少しずつ神子たちは自我も芽生え始めて・・。。−裏表紙より−


「花見に行く」「ホットケーキを食す」「モノノケ退治する」「バイトをする」「遊ぶ」の5話です。

それぞれの話で、四神たちは大活躍をみせます。


1話目はお花見に行くことになりますが、彼らのお花見は当然、世間のお花見とは一味も二味も違います。人間ではないモノたちと花見という名の宴会を繰り広げます。

ちょっとしたハプニングが起きるのですが、育て人の梓のことが大好きな彼らは、全力で梓を守って助けていきます。


2話目は題名から想像できる通り、ほのぼのとした展開。そうか、ホットケーキを食べたことがないのか・・と納得。何でも経験させてあげたいと考えている梓は、作ったことないのにホットケーキ作りに挑戦! 

パンケーキなんて名前で店に行列が出来て、ブームになっていますが、やっぱり昔ながらの家で食べるホットケーキも美味しいですよね! これを読んでいたら久しぶりに食べたくなりました。


3話目、4話目はちょっと似た雰囲気の話でした。バイトをするといっても、普通のバイトではなく、怪しい物を退治することなので、結局同じような感じ?

梓はほとんど役に立ちませんが、神子たちの大活躍によって、無事に任務を果たします。

しかし、神子を4人も預かって育てているというのに、給料も生活費も少なすぎでしょう! 固定資産税なんていう生臭い話まで出てきて、これからの梓がかわいそうです。


5話目はとってもほのぼのする話です。神子たちと、とある女性との心温まる触れ合いに、読んでいても微笑んでしまうくらいでした。

良い子に育っているな〜と人間の子を見るような気分で見てしまっています。


今のところ平和な日常ですが、そのうち反抗期なんて迎えてしまうのか?? 成長がものすごく早いので周りも不思議に思うでしょうし、どうなっていくのか続きも楽しみです。


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タグ:霜月りつ

2019年10月03日

買った本

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 矢崎存美 著
 「ぶたぶたのティータイム」
 (光文社文庫)


大好きなシリーズ。美味しそうなスイーツいっぱいの話でした。


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 大門剛明 著
 「完全無罪」
 (講談社文庫)


なかなか難しい内容でした。色々考えさせられました。


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 本城雅人 著
 「騎手の誇り」
 (新潮文庫)


ネットでの感想を読んで面白そうだったので購入。新しい世界のことを知ることができました。


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 白鷺あおい著
 「ぬばたまおろち、しらたまおろち」
 (創元推理文庫)


こちらも、ネットでの感想を読んで面白そうだったので購入。書店で見つからず、ネット注文しました。

2019年10月02日

柴田よしき「象牙色の眠り 京都洛東連続死の謎」

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 柴田よしき 著
 「象牙色の眠り 京都洛東連続死の謎」
 (徳間文庫)


工藤瑞恵は夫の借金返済のため、通いの家政婦をしていた。京都・修学院に佇む勤め先の原家には、前妻の子であるかおりと裕次、後妻の愛美と息子の祥が暮らしていた。仲は悪くないが、よそよそしさを感じる家族を繋いでいたのはかおりの明るさだった。だがある日、かおりが轢き逃げに遭い昏睡状態になってから、原家を次々と悲劇が襲う。ミステリーの名手が、歪んだ人間心理を鋭く描く。−裏表紙より−


読んでから時間が経ちすぎて、細かい部分が思い出せません。

暗い結末と、確かに連続“殺人”じゃなくて、連続“死”だね・・ということくらい。


いつか時間が出来たら、再読して感想を書きます。

とりあえず、読んだという記録のために。

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2019年10月01日

9月のまとめ

騎手の誇り (新潮文庫)騎手の誇り (新潮文庫)
意外な人物が犯人というか「へえ、そうだったんだ」と思ったら更に展開が。誰が悪いわけでもなかったんですね・・って感じ。そこの部分はともかく、それ以外の競馬の世界や騎手の人生について色々知ることが出来たのが面白かったです。短いレース中に素人にはわからないたくさんの想いと駆け引きがあるんですね。
読了日:09月02日 著者:本城 雅人


ビール職人の醸造と推理 (創元推理文庫)ビール職人の醸造と推理 (創元推理文庫)
尻切れトンボ感半端ないですけど、それまでの雰囲気は面白かったです。アメリカなのにドイツな感じとか、生活の仕方とかを読んでいると、妙に「大草原の小さな家」的な世界が頭に浮かんでいました。でもパソコンやらオンラインゲームやらやっているからちょっと戸惑ってしまいました。ビールと食べ物がおいしそうでたまらない!ミステリはいらなかった気がする・・。
読了日:09月09日 著者:エリー・アレグザンダー


ぬばたまおろち、しらたまおろち (創元推理文庫)ぬばたまおろち、しらたまおろち (創元推理文庫)
話に入り込むまでに時間がかかってしまいました・・。途中から面白くなってそこからは次々読み進められましたが。普通の人間でも箒で空を飛べるなんて良いな〜・・とは思いませんが、世界は広がりそうです。そして、便利かもしれませんね。色んなタイプの登場人物たちに興味津々でした。
読了日:09月21日 著者:白鷺 あおい


アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)
この作家さんお得意の、一見関係ない人たちがどんどん繋がっていくパターン。面白いのですが、だれが誰だか混乱してしまうのが困る・・。世間は狭いというか、広い話に見せかけて、狭い範囲での話だということですね。
読了日:09月30日 著者:伊坂 幸太郎


Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防 (集英社オレンジ文庫)Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防 (集英社オレンジ文庫)
1時間くらいでサラッと読めました。主人公の女性のことは結構素敵だと思えたのですが、それ以外が・・。文章としてもあまりにも「ブスブス」言い過ぎていてちょっと疲れる感じがありました。でも自分に自信がもてない気持ちにはかなり共感できたので面白く読める部分も多かったです。
読了日:09月30日 著者:ゆきた 志旗




全部で5冊。昨日一気に読んだ本を入れての数なので、少ないですね〜。

時間がかかってしまう本が多かったかな? 創元推理文庫のページ数の多い物を2冊も読んでしまったので。

印象に残ったのは「ぬばたまおろち、しらたまおろち」です。

posted by DONA at 14:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ