
乃南アサ 著
「家族趣味」
(廣済堂文庫)
夫と中学生の息子をもちながら家族も仕事も趣味と断言、若い男たちとの恋も奔放に楽しんできた主人公。そんな日常が突然、呆気なく壊れていく・・。
表題作をはじめ、宝石のとりこになった女性の執念を描く「魅惑の輝き」、人望の厚いやり手課長の豹変を描く「忘れ物」など、人間の心の闇を抉った傑作短編5編。−裏表紙より−
こういう、人間の心の闇みたいなものを描くのが本当に上手な作家さんです。
全ての作品がゾクッとする内容になっていました。
表題作の「家族趣味」は、最終話なのですが、最後に最大級のゾクッとを詰め込んで終わりました。始めはほのぼのとした雰囲気だったのに、徐々に怪しくなっていき、最後は・・。
周りから見ると、お互い名前で呼び合うような家族は仲良さそうですけど、よく考えたら親のことを名前で呼んでいるのはやはり変ですね。仲が良いというか、けじめがない感じにも思えます。
家族って、外から見るのと内の事情は違うもんですね・・。一度壊れたらとことんまでバラバラになっていく感じが怖かったです。この家族は修復不可能だろうな・・。
「魅惑の輝き」も怖かったです。買い物依存症、この話に出てくる女性は中でも宝石に依存しています。私は全く買い物が好きではないので、買い物依存症になる心配は無いですけど、女性は多いようですね。
ブランド物の良さや宝石の魅力が全くわからないので共感は出来なかったのですが、「これ」と思ったら押さえられない感情というのは何となくわかります。
それでも大抵の人は抑えきらない感情を抑えて生きているのですが、一度外れたら止まらないのが怖いです。
気に入った宝石を手に入れるために堕ちる所まで堕ちていく状況。怖い世界です。
大好きな作家さんなので、まだ読んでいない本を見つけたら、どんどん読んでいく予定です。
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