伊坂幸犬郎・犬崎梢・木下半犬・横関犬・貫井ドッグ郎 著
「Wonderful Story」
(PHP文庫)
伊坂幸太郎・大崎梢・木下半太・横関大・貫井徳郎―当代きっての人気作家5人が、「犬」にちなんだペンネームに改名(?)して夢の競演。昔話でおなじみの犬の思わぬ裏話や、「犬吠埼」で繰り広げられる物語、悪人が連れてきた犬や、人のために働く盲導犬の抱える秘密、そしてやたらと見つけてくる犬の謎とは・・。個性豊かな犬たちが踊る、感動ありサプライズありの全体未聞の小説“ワンソロジー”、ここに登場!−裏表紙より−
「
イヌゲンソーゴ」「
海に吠える」「
バター好きのヘミングウェイ」「
パピーウォーカー」「
犬は見ている」の5編収録。
アンソロジーじゃなくて、ワンソロジーだそうです。
5人の作家がそれぞれ、名前の漢字の一字を犬に変えて、犬にちなんだ話を描いています。若干、強引な改名をされている方もおられますが・・。
多分、全員読んだことがある作家さんだと思いますが、木下さんと貫井さんはほとんど読んだことがありません。
よく読むというか、お気に入りの作家さんたち3人の作品は、やっぱり好みでした。
伊坂さんの「イヌゲンソーゴ」は、どんな展開を見せるのか楽しみで次々読みました。昔話や童話などなどの中で犬が出てくる有名なお話をモチーフに描かれています。これは何の話?と考えながら読むのも面白かったです。最後にすべてがきれいにまとまる所がスッキリ出来て良いです。
大崎さんの「海に吠える」は、ちょっと切ない物語でした。離婚しそうな両親の間に挟まれる形になってしまった小学生の男の子。田舎に引っ越すことになった父親と彼の生活は、都会に住む母親からは同情されるような環境。でも、彼は胸を張って生きていきます。もちろん、犬も彼を大きく助けることになります。
横関さんの「パピーウォーカー」は、題名の通り介助犬とそれを世話する家族や犬と家族を繋げる職員が登場します。介助犬に起こる出来事と、パピーウォーカーの関係性がちょっと切ない物語でした。介助犬の賢さとカッコよさを改めて感じさせられました。
ほとんど読んだことのない2人の作品は、やはりちょっと合わない部分も・・。
木下さんの「バター好きのヘミングウェイ」は、途中まで何を言っているのかわからない状態でした。最後の最後で、なるほどとスッキリはしたのですが、そこまでがガラも悪くて好みではなかったです・・。
貫井さんの「犬は見ている」は、ちょっとゾクッとしました。とはいえ、見られているのが犬ですから、まあそこまで怖くはないのですが、不気味な雰囲気に感じられました。
私は犬が苦手なのですが、物語としては読んでいても嫌ではなく、面白い話も多くて最後まで楽しめました。
きっと犬好きさんにはたまらない作品集だと思います。
↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。