2019年05月31日

三浦しをん「政と源」

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 三浦しをん 著
 「政と源」
 (集英社文庫)


東京都墨田区Y町。つまみ簪職人・源二郎の弟子である徹平の様子がおかしい。どうやら、昔の不良仲間に強請られたらしい。それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが―。当年とって七十三歳の国政と源二郎は、正反対の性格ながら、なぜか良いコンビ。水路のある下町を舞台に老人パワーを炸裂させるふたりの、痛快で心温まる刃傷譚!−裏表紙より−


つまみ簪職人の源二郎と、幼なじみの国政。この2人の物語です。73歳の2人ですが、ずっと同じ町に暮らし、別々の仕事をしてきたのにずっとつかず離れず一緒にいました。でも、性格は正反対。

源さんは、73歳にして禿げた頭を赤やピンクの派手な色に染めるような破天荒な人。政さんは、真面目が服を着ているような堅物。正反対な方が意外と仲良くやっていけるのかもしれませんね。


そんな2人が巻き起こし、巻き込まれる日常の様々な事件がドタバタと描かれています。源さんの言動に呆れ、政さんの的確な突込みに笑い、楽しく読めました。

ただ、政さんが寂しそうなのだけが辛かった・・。身近にも政さんによく似た人がいるので、その人が思い浮かんで心が痛くなりました。自分の蒔いた種なんですけどね。

政さんには、源さんという何でも言い合える(言わなくてもわかってもらえる)相手がいるだけで幸せなのかもしれません。


今も現役で仕事をして、弟子もいて尊敬されている源さんのことが羨ましくて仕方のない政さん。 源さんが活き活きしているとやきもちを焼いてしまうのですが、それでもきっと源さんがいれば大丈夫。

そして、一人でも生きていけそうな源さんにも、やっぱり政さんが必要で、ほんと、素敵な関係です。


私も、こんな幼なじみがほしかったな・・・・。


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タグ:三浦しをん
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2019年05月30日

小路幸也 「スターダストパレード」

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 小路幸也 著
 「スターダストパレード」
 (講談社文庫)


1年の刑期を終えたその日、オレを迎えに来たのは刑事の鷹原さんだった。不審な死で母を亡くし、言葉を失った5歳の少女・ニノンを匿えと切り出す。なぜオレに? かつて鷹原さんを裏切ったこのオレに? ニノンとオレとの切ない逃避行が始まった―。それぞれの想いを乗せた、ハートフル・ミステリー!−裏表紙より−


若者が拘置所か何かから出所しようとしている場面から話は始まります。 題名からは想像もつかない始まり方です。

そして、出所する若者を刑事が迎えに来ます。その刑事と若者は何か関わりがありそう。多分、逮捕した人なのでしょう・・。でも話が進むにつれ、どうやらそれだけではない何かがありそうな記述が。なのに全く説明がない。もしかして続編から読み始めたのか?と不安になるくらい置いて行かれた感じがしました。


この若者・マモルが“オレ”として、彼の視点で話は進みます。捕まっていたはずなのかれのことをどんどん好ましく思えることに戸惑ってしまいましたが、その理由は後々わかってきます。

彼に、迎えに行った刑事・鷹原はある少女を守るように頼みます。どうやらその少女は命を狙われている様子。細かい事情を知らされないままですが、彼は少女のかわいらしさに助けられつつ、しっかり守っていきます。


この少女もかわいかった! マモルも良い人ですし、みんな幸せになってほしいと思うようになってしまいました。何とかそんな展開になってくれてよかったですが、それまでの流れはちょっと盛り上がりにかけるような・・。

最後まで何が言いたかったのかよくわからず。

でも、これは登場人物の魅力だけで十分なのかもしれません。


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タグ:小路幸也

2019年05月29日

知野みさき「落ちぬ椿 上絵師 律の似面絵帖」

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 知野みさき 著
 「落ちぬ椿 上絵師 律の似面絵帖」
 (光文社文庫)


辻斬りで母を亡くし、上絵師の父も失意のうちに死んだ。律は、幼い弟のためにも、父の跡を継ぎ、布に家紋や絵を描く上絵師としての独り立ちを目指していた。そんな折、馴染みの同心が持ち込んだ似面絵に「私が描く方がまし」と口走り・・。副業として請け始めた似面絵が、様々な事件を解決へと導いてゆく! 恋に仕事に一途な女職人の活躍を描く新シリーズ。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。 読みやすい時代小説でした。コロコロと視点が変わるのが気にはなりましたが。


両親を相次いで亡くした律は、父の跡を継いで上絵師として生きていこうとします。才能もありそうですし、それなりに腕はありそうですが、やはり偉大な父を超えることは難しいようです。この時代“女”というだけでハードルも上がりますから、余計に食べていくのは大変です。


何度もくじけそうになる律を。幼馴染のお香やその兄・涼太、隣人で指南所の師匠でもある今井たちが支えてくれます。特に涼太のことは、昔からあこがれを抱いていて、彼の言動に一喜一憂する律がけなげでかわいかったです。ただ、涼太は大店の跡取り息子なため、身分の違いから想いを告げることが出来ない状態です。涼太も律のことを妹のようにかわいがりつつ、やはり想っているようで、2人は両想いなのですが・・。そんな2人をお香は心配して何かと仲を取り持とうとしています。


律がなかなか上絵師として生計が立てられない中、たまたま同心が持ち込んだ似面絵に口を出し、自ら描いてみせたら次からも頼まれるようになります。それがちょっとした生活のたしになっていくことになりました。

代金をもらうように周りから言ってもらい、少しずつ生活の兆しが見えてきました。似面絵を描くことも本業の練習になっていますし、律の今後が楽しみになりました。もちろん恋の行方も。

シリーズを追いかけることにします。


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タグ:知野みさき

2019年05月28日

買った本

かなり前に読み終わった本ばかりですが、紹介していなかったので。


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 近藤史恵 著
 「スティグマータ」
 (新潮文庫)


久しぶりのチカシリーズ。やっぱりチカの話は良いです。


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 アミの会(仮) 編
 「毒殺協奏曲」
 (PHP文庫)


好きな作家さんが多かったので購入。ドロドロした感じが多かったかも。


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 長岡弘樹 著
 「赤い刻印」
 (双葉文庫)


お気に入りになっていた作家さんなのに、なかなか見つからず、やっと読めました。でも意外とあっさり終了したかも・・。

2019年05月20日

柚月裕子「パレートの誤算」

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 柚月裕子 著
 「パレートの誤算」
 (祥伝社文庫)


ベテランケースワーカーの山川が殺された。新人職員の牧野聡美は彼のあとを継ぎ、生活保護受給世帯を訪問し支援を行うことに。仕事熱心で人望も厚い山川だったが、訪問先のアパートが燃え、焼け跡から撲殺死体で発見された。聡美は、受給者を訪ねるうちに山川がヤクザと不適切な関係を持っていた可能性に気付くが・・。生活保護の闇に迫る、渾身の社会はミステリー!−裏表紙より−


なかなか重い内容でした。

生活保護受給者の問題です。 不正受給の問題はよく聞きますし、ニュースでもやっていてわかっていましたが、受給者に集る人がいるとは・・。何となくそんなこともあるだろうとは想像できますが、こんなにあくどいとは知りませんでした。この部分はフィクションではなさそうです・・。そのお金も税金から出ているかと思うと悲しいですし、腹が立ちますね。


ただ単純に不正受給の問題だけを描いていると多分退屈してしまったでしょうが、そこに殺人事件を絡めて、誰が犯人なのか、どうして殺されなければならなかったのかを推理しつつ社会問題にも立ち向かうことになって、最後までハラハラしてしまいました。

働きたくても様々な事情で働けない人たちに国が力を貸すのは絶対に必要なことだとは思います。だからこそ、不正をする人がいると正直な人の規制が厳しくなってしまい、必要な所に行き届かないのが難しいです。


ケースワーカーの仕事の大変さもよくわかりました。人手不足なんですね。かなりハードなようですし、怒鳴られたりすることも多いからなりたくないのはわかります。私も出来ればなりたくない・・。

それでも、何とか成り手を増やして、もっとしっかり調査出来ると良いのでしょうけど。


ほんと、難しい問題です。


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タグ:柚月裕子

2019年05月08日

香月日輪「ファンム・アレース 1」

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 香月日輪 著
 「ファンム・アレース 1」
 (講談社文庫)



獣人族や妖精族と共生する人族が、信仰と魔術を重んじていた頃―額に眼の刺青をもつ雇われ剣士バビロンの前に、新たな主を名乗って現れたのは、まだ十歳にも満たない娘ララだった。その命を何者かに狙われながらも、伝説の聖少女将軍の面影をもつララとバビロンは、約束の地へと歩き出す。二人の運命は。


ちょっと上橋さんの守り人シリーズに似た雰囲気のファンタジーでした。まだ1作目なのでこの先どうなるのかわかりませんが。


剣士バビロンが“契約の魔術”によって雇われることに。その新たな主となったのは10歳にもならないララという少女。まだ小さな娘なのに命を狙われているララ。彼女を守りながら目的地“約束の地”へと旅を始めます。


守り人シリーズでいうと、バルサがバビロンで、チャグムがララです。ララは、チャグムのように正体がはっきりしているわけではありせんが、何やら高貴な出のようです。チャグムと違って自分で身を守ることが出来そうな魔力ももっていて、かなり頼りになります。そして、何よりしっかり自立しています。

お陰で、しばらくはララのことを可愛いと思えなかったのですが、少しずつ魅力的に見えてきて、1作が終わったときには愛おしいとさえ思えるようになりました。


バビロンは、バルサのように強い人です。同じように優しさも持っています。始めはイヤイヤ守ることになったのですが、少しずつララに惹かれ、運命を共にしようと覚悟したようです。

バルサとチャグムは親子のようでしたが、彼らの関係は私の苦手な方向へ(恋愛関係?)いきそうなことだけが気にかかりますが、この先、どんな運命が待っているのか、どんな試練を乗り越えて、素敵な結末を迎えるのか楽しみになる終わり方をしていました。


忘れないうちに、早めに次も読むつもりです。


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2019年05月07日

4月のまとめ

チェインギャングは忘れない (講談社文庫)チェインギャングは忘れない (講談社文庫)
こんな出会い方でこんなに信頼して仲良く出来るかな?と疑問ではありますが、それだけ人懐っこい人だったのかな?ということで。最後の展開には驚かされましたが、ある意味スッキリ爽快に終わってくれてよかったです。これだけ絆の強い仲間がいるのは幸せです。
読了日:04月06日 著者:横関 大


セカンドステージ (幻冬舎文庫)セカンドステージ (幻冬舎文庫)
ママになったことはありませんが、ママの大変さは想像できます。世のパパたちはなぜ想像できないのか・・。パパたちの考えには怒りがわきます。おばあちゃんおじいちゃんたちとの交流、素敵でした。こういう活躍の仕方良いですね。現実にも出来たら良いのに。
読了日:04月10日 著者:五十嵐 貴久


Wonderful Story(ワンダフルストーリー) (PHP文芸文庫)Wonderful Story(ワンダフルストーリー) (PHP文芸文庫)
犬になった5人の作家によるアンソロジーならぬワンソロジー。犬より猫派な私でも楽しめるような、犬犬していない話ばかりで面白かったです。
読了日:04月16日 著者:伊坂 幸犬郎


スティグマータ (新潮文庫)スティグマータ (新潮文庫)
やっぱりチカの話が良いです。最後まで熱くて感動的でした。チカの自分や他人を冷静に分析する感覚が好きです。彼がどこまで活躍してくれるのかはわかりませんが、どうか終わりが来るのが遅くなりますように。これからも活躍が見たいです。
読了日:04月19日 著者:近藤 史恵


毒殺協奏曲 (PHP文芸文庫)毒殺協奏曲 (PHP文芸文庫)
楽しみにしていた柴田よしきさんの話は読んだことがありました・・。他も面白い話があったのですが、ちょっと印象に残らず残念。
読了日:04月25日 著者:有栖川 有栖,小林 泰三,篠田 真由美,柴田 よしき,永嶋 恵美,新津 きよみ,松村 比呂美,光原 百合


赤い刻印 (双葉文庫)赤い刻印 (双葉文庫)
サラリと読み切ることが出来ました。表題作が一番印象的でした。
読了日:04月30日 著者:長岡 弘樹


全部で6冊。休み中にはあまり読めず・・。

印象に残ったのは「スティグマータ」です。

posted by DONA at 14:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ