
細谷正充 編
「なさけ <人情>時代小説傑作選」
(PHP文芸文庫)
差配から住人まで全員が悪党の長屋に引っ越してきた新住人をめぐる騒動(「善人長屋」)、人の縁を取り持つ“結び屋”が出合った、見合い相手に不可解な態度を取る娘の哀しき真実(「まぶたの笑顔」)、つらいお店奉公に耐えかねた幼い丁稚に、大旦那さまが聞かせた不思議な話(「首吊りご本尊」)など、書籍未収録作品や書き下ろし作品を加えた時代小説アンソロジー。ほろ苦くも心を揺さぶる珠玉の六作を収録。−裏表紙より−
女性時代小説作家さんたちによるアンソロジーです。新たな出会いに便利ですが、今回は初めての作家さんが志川節子、村木嵐だけでした。「なさけ」という題名にも惹かれたので、仕方ないですね。
西條奈加「善人長屋」坂井希久子「抜け殻」志川節子「まぶたの笑顔」田牧大和「海の紺青、空の碧天」村木嵐「地獄染」宮部みゆき「首吊りご本尊」の6編です。
子どもがいなくなるという話が2話もありました。昔はそれだけ“神隠し”的なことも多かったということなのでしょうね。
子どもの手を離したせいで行方不明になる・・これは想像しただけで胸が苦しくなる状況ですよね。子どもがいつか帰って来ると信じたい気持ちと、自分のせいで・・と責める気持ちで、今までの生活が出来なくなるのはわかる気がします。読むのが辛い話たちでした。
気に入ったのは田牧大和「海の紺青、空の碧天」です。姉想いの弟と、どっしりと動じず大人な姉、そしてその婚約者。3人の様子、人柄が素敵で、話もどうなるのか?とワクワクする展開でした。スッキリ爽快な結末でした。
そして、初読みの2人ですが。志川節子の話は読みやすく、面白かったので他も探してみようと思いますが、村木嵐の話はちょっと・・。ずっと暗い気持ちになる展開だったのでどうかな?と思いました。大人すぎ??
色々な作家さんの話が読めて、新たな出会いもあって、素敵なアンソロジーでした。また他のも読んでみたいです。
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