
乃南アサ 著
「最後の花束 短編傑作選」
(新潮文庫)
色恋をめぐる狂気は、その女たちを少しずつ蝕み、少しずつ壊していった・・。ある女は大阪に引っ越してまで愛人を追いかけ、またある女は親友の婚約者を欲しがる。職人の夫の浮気を疑った妻は夫の作る提灯に火を仕込み、OLは見る間に垢抜けた同僚への嫉妬に狂う・・。サスペンス・ミステリーの名手による短編を、単行本未収録作品を加えて精選したベスト・オブ・ベスト第一弾!−裏表紙より−
「くらわんか」「祝辞」「留守番電話」「青空」「はなの便り」「薬缶」「髪」「おし津提灯」「枕香」「ハイビスカスの森」「最後の花束」の11編が収録されています。
かなり読み応えのある作品集でした。
どんな内容の短編集なのか知らずに読み始めたので、1話目の「
くらわんか」のなんてことない日常のような始まり方に、どんな終わり方をするのか、何が言いたいのかと不思議な気分になりました。そしてラスト・・!
すごいブラックな結末にびっくりしました。女性の恨みは怖い・・。同性ながらゾクッとしました。
2話目の「
祝辞」もかなり怖い。同性同士の嫉妬は、男性が絡んでくると余計に怖いですね。
「
青空」は職業柄、本当に嫌な話だと感じました。ありえないことが多すぎたのでこれはちょっと共感できず。
ずっと暗くてゾクッとする内容が続いた後の「
はなの便り」は、ホッとさせられました。途中まではこれも嫌な終わり方をするに違いないと思いながら読んでいたのですが、微笑ましくて良かったです。まあ納得したわけではないですけど。たまにはこういうのも無いとしんどいですから。
「
薬缶」は短いのに一番怖かったかも。奥さんの気持ちがギュッと詰まっていて重かったです。
そしてやはり一番印象に残ったのは表題にもなっている「
最後の花束」 あー、そういうオチか!と驚かされたのと、鮮やかなだまさ方にすっきりしたのと、複雑な気持ちになりました。
11話のうち、2〜3話以外は女性の嫉妬が引き起こす怖い物事が描かれていて、同性が読むとどこかに思い当たる所があって共感できると思います。そして、共感することに嫌気がさす・・。
女性って!!
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