2018年09月27日

安住洋子「み仏のかんばせ」

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 安住洋子 著
 「み仏のかんばせ」
 (小学館文庫)


女衒に手込めにされ逃げだした志乃は、江戸に出て松助と名乗り、首切り役人として名高い山田浅右衛門の下で男として中間奉公をしていた。ある日、山田家にとって大切な罪人の肝を夜盗に奪われてしまい、家に迷惑をかけるのを恐れて中間奉公を辞した。針売りになった志乃だったが、憧れていた壮太が同じ長屋に越してくる。普通の幸せを諦めかけていた志乃も、壮太と気持ちを確かめ合い夫婦になる。しかし、壮太にも隠された過去があった! 人に言えない秘密を持つ者同士が、互いを支えて懸命に生きる姿を描いた、感動の人情時代小説!−裏表紙より−


以前読んだ「しずり雪」が面白かったので、こちらもネットで購入。

でも、「しずり雪」ほど面白くなかったかな・・。


志乃という主人公が、松助と名乗って男性として中間奉公をするという始まりは面白かったのですし、その奉公先が首切り役人の家というのも魅力的でしたが、中間を辞めて女性に戻ってからは・・。

女性として描かれる方が長かったのでそれが残念です。

女性として、想い人と結ばれたわけですが、そのお相手にも何やら暗い過去があるようで、それもあっさりと明かされてしまいますし、そこからも軽い感じで話は進むのでもう少しページ数を増やしてじっくり書いてほしかったです。

もう一山、ふた山欲しかったかな?

志乃の人生を最後まで描かなくても良かったような。その分、首を切られる武士の気持ちや人生、女性として生きる大変さ、夫となった男性の葛藤などを長く深く描いてもらえたら・・。

泣きかけては泣けず、の繰り返しになってしまいました。


とはいえ文章は読みやすいので、また他の作品に挑戦してみようと思います。


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タグ:安住洋子

2018年09月26日

買った本

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 横関大 著
 「グッバイ・ヒーロー」
 (講談社文庫)


ちょっと気になる作家さん。読みやすかったです。


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 知念実希人 著
 「黒猫の小夜曲」
 (光文社文庫)


シリーズ2作目。前作よりは泣かずに済んだかも。面白かったけど・・。


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 碧野圭 著
 「書店ガール7 旅立ち」
 (PHP文庫)


今読んでいます。とうとう最終巻だとか。それぞれのまとめって感じでしょうか。


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 高田郁 著
 「花だより みをつくし料理帖 特別巻」
 (ハルキ文庫)


もったいないから家でちょこちょこ読んでいます。なかなか澪が出てこない・・。

2018年09月18日

太田愛「犯罪者 上下」

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 太田愛 著
 「犯罪者 上」
 (角川文庫)


白昼の駅前広場で4人が刺殺される通り魔事件が発生。犯人は逮捕されたが、ただひとり助かった青年・修司は搬送先の病院で奇妙な男から「逃げろ。あと10日生き延びれば助かる」と警告される。その直後、謎の暗殺者に襲撃される修司。なぜ自分は10日以内に殺されなければならないのか。はみだし刑事・相馬によって命を救われた修司は、相馬の友人で博覧強記の男・鑓水と3人で、暗殺者に追われながら事件の真相を追う。−裏表紙より−


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 太田愛 著
 「犯罪者 下」
 (角川文庫)

 
修司と相馬、鑓水の3人は通り魔事件の裏に、巨大企業・タイタスと与党の重鎮政治家の存在を掴む。そこに浮かび上がる乳幼児の奇病。暗殺者の手が迫る中、3人は幾重にも絡んだ謎を解き、ついに事件の核心を握る人物「佐々木邦夫」にたどり着く。乳幼児たちの人生を破壊し、通り魔事件を起こした真の犯罪者は誰なのか。佐々木邦夫が企てた周到な犯罪と、その驚くべき目的を知った時、3人は一発逆転の賭けに打って出る。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

ドラマ「相棒」の脚本家だとか。なるほどの内容でした。「相棒」は大好きなドラマだったのですが、最近はとあるキャストが苦手で見ていません。残念でならないのですが、我慢できないので仕方ない・・。


メールで女の子から呼び出された青年が駅前広場にやって来たところから話は始まります。そしてあっという間に通り魔事件に巻き込まれてしまう!

驚きの展開に目が離せなくなるわけですが、これはほんの序の口。

犯人はすぐに捕まるのですが、どうも彼は犯人ではなさそうな雰囲気。しかも、一人だけ奇跡的に助かった青年・修司が搬送された病院で謎の人物から「逃げろ」と言われて、更に謎が深まっていきます。

訳も分からないまま、とりあえず誰にも言わずに病院を出るのですが、再び襲われてしまいます。

なぜ、修司は狙われるのか、通り魔事件ではないのか?

事件自体に謎が深まっていきます。でも捜査本部は捕まえた容疑者で満足しそうな状態。それに納得出来なかったはみだしものの刑事・相馬が修司を助けながら捜査していきます。

相馬の昔の知人である鑓水も巻き込まれるようにして事件を調べ始めます。


上巻で、きっと事件の黒幕であろう人たちの視点でも描かれてしまったので、ほとんどの謎は判明してしまい、下巻は何のためにあるんだろう?と不安になりました。

急いで下巻を読み始めた所、これでもか、これでもか!と逆転劇が。

「これで勝った!」と思ったらまたやられてしまい、3人ともボロボロ状態に。下巻は気になってほぼ一気読みになりました。


最後はもっとすっきりさせてほしい気もしましたが、あまりにもハッピーエンドだと嘘くさくなるのかもしれないとも思います。これくらいがちょうどいいのかな?

読み終わってから上下巻並べて表紙を見ると泣けてきます・・。「しっかり生きて行ってね!」と応援したくなりました。


現実世界でもよくある会社の隠蔽事件。保身のためなら何でもするという考えが怖すぎました。幼い子どもたちが犠牲になっても平気でいられるなんて人間とは思えないです。動機が情けなすぎて腹が立ちました。


後味の悪い話ではありましたが、3人のキャラクターも話の展開も面白かったので、もう少しこの作家さんを追ってみようかな?


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タグ:太田愛

2018年09月10日

近藤史恵「ねむりねずみ」

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 近藤史恵 著
 「ねむりねずみ」
 (創元推理文庫)


しがない中二階なれど魅入られた世界から足は洗えず、今日も腰元役を務める瀬川小菊は、成行きで劇場の怪事件を調べ始める。二か月前、上演中に花形役者の婚約者が謎の死を遂げた。人目を避けることは至難であったにも拘らず、目撃証言すら満足に得られない。事件の焦点が梨園の住人に絞られるにつれ、歌舞伎界の光と闇を知りながら、客観視できない小菊は劇場に身を焼かれる。−裏表紙より−


若手歌舞伎役者・中村銀弥の家庭での様子から話は始まります。「ことばがあたまから消えていく」という謎の症状に悩まされる銀弥を、その妻が支えています。こう書くと、献身的な良い妻という感じですが、実は彼女には後ろ暗い出来事が・・。

ここから彼らが事件に巻き込まれていくのか?と思いつつ読み進めていると、突然全く違う場面に。

同じ歌舞伎の世界の話ではあるのですが、突然置いて行かれた気分になります。

その場面から現れるのは、主役をはれないけど、この世界が好きで離れられない役者・小菊。彼を訪ねてきたのが学生時代の同級生・今泉文吾。二人は、劇場で起きた殺人事件を調査することになります。


話があちこちに飛んでしまって、誰の話?といちいち悩まないといけない所があって、話に入り込みにくい展開でしたが、どうやって事件を解いていくのかが気になってほぼ一気読みでした。

第一幕で出てきた銀弥とその妻はどう関わっているのかもなかなか判明せず、まさかこのまま終わらないよね?と心配になる頃、やっと関連が。

事件の真相はかなり後味の悪いものでしたし、その殺害方法はどうも納得いきませんでした。

そんなに都合よくいくかな??と。

しかも動機が・・。

結局、すっきり解決したわけでもないですし、読み終わってもモヤモヤしました。

銀弥とその妻の後日談も納得できず。まあ彼らの場合はそういう選択肢もあるかな?とは思うのですが。


・・と、さんざん面白くないかのようなことを書いてきましたが、小菊や文吾のキャラクターは好ましかったですし、歌舞伎界の裏側を少し覗くことが出来たのは面白かったです。読んで良かったと思いました。

歌舞伎役者の全身全霊を掛けて役に入り込む様子は、読んでいて苦しくなりましたし、こうやって命懸けで芝居をしていたら、ストレスも多いだろうなと。

そこまでして歌舞伎に掛ける想い、そこまで掛けることができる歌舞伎の魅力にはまりそうです。

小菊と文吾のシリーズは他にもあるようなので、ぜひ探して読んでみようと思います。


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2018年09月03日

8月のまとめ

ガイコツは眠らず捜査する (創元推理文庫)ガイコツは眠らず捜査する (創元推理文庫)
シリーズ2作目になり、更に面白くなりました。娘にシドの存在がばれてないときの方がハラハラ感があって良かったですが、ばれたらシドの行動範囲も広まってそれはそれで面白いです。コージーの割には美味しそうな料理も出てきませんし、恋愛がらみも少ないですし、意外とガッツリ調査する方かもしれません。お陰で読み応えがあります。
読了日:08月03日 著者:レイ・ペリー


聖母(マドンナ)の深き淵聖母(マドンナ)の深き淵
前作から間が空きすぎて、人間関係がよくわからない状態に。とりあえず、緑子の性格も態度も好きじゃないな〜と思いつつ読みました。絶対に友だちになれないタイプの女性です。男女関係の話がメインになっているのが時々うっとおしく思いつつ何とか読み終わりました・・とりあえず時間かかった・・。
読了日:08月15日 著者:柴田 よしき


お弁当代行屋さんの届けもの (富士見L文庫)お弁当代行屋さんの届けもの (富士見L文庫)
ページ数が少ないからすぐに読み終えるだろうと思っていたのに、意外と時間がかかりました。始めの2話があまり好きではなくて、入り込めなかったのが原因でしょうが。最後の話は面白くて泣きそうにもなりました。手作りのお弁当って良いですね。誰にでも色んな思い出がありそう。好きなおかず、嫌いなおかず、おにぎりの具は何が好きかとか、お弁当をテーマに話すと止まらなくなりそうです。
読了日:08月21日 著者:妃川 螢


大川契り: 善人長屋 (新潮文庫)大川契り: 善人長屋 (新潮文庫)
3作目。やっぱり短編の方が読みやすいです。一話ずつが濃い気がして良いです。久しぶりの長屋の人たちですが、読み始めたらあっという間に引き込まれ、彼らの魅力にやられました。毎度、問題を持ち込む加助と問題に巻き込まれて文句を言いつつも助けずにはいられないお人好しな人たち。ニヤッと笑いつつ、感動させられつつ読みました。最後の話が一番好きです。
読了日:08月25日 著者:西條 奈加


NNNからの使者 猫だけが知っている (ハルキ文庫)NNNからの使者 猫だけが知っている (ハルキ文庫)
猫好きとしては楽しめました。猫好きではありますが、ここに出てくる人たちほど好きじゃない・・という中途半端さが、猫を飼わない理由なんだろうな。いつかミケさんから猫を授かったら良いな。
読了日:08月29日 著者:矢崎存美


最後の晩ごはん 海の花火とかき氷 (角川文庫)最後の晩ごはん 海の花火とかき氷 (角川文庫)
怖い!じっくりと情景を思い浮かべながら読んだら眠れなくなりそうだったから、サラッと読んだ。こんな死に方したくないから、あまり人のことを恨みに思わないよう生きようと思わされました。ひどい迷惑をかけてくる霊だったな・・。
読了日:08月30日 著者:椹野 道流



全部で6冊。休みもあったのでもう少し読んだ気がしたんですけど・・一冊に時間がかかってしまいました。

印象に残ったのは、「大川契り」です。

posted by DONA at 15:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ