2018年08月31日

今井希久子「ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや」

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 今井希久子 著
 「ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや」
 (ハルキ文庫)


家禄を継げない武家の次男坊・林只次郎は、鶯が美声を放つよう飼育するのが得意で、それを生業とし家計を大きく支えている。ある日、上客の鶯がいなくなり途方に暮れていたときに暖簾をくぐった居酒屋で、美人女将・お妙の笑顔と素朴な絶品料理に一目惚れ。青菜のおひたし、里芋の煮ころばし、鯖の一夜干し・・只次郎はお妙と料理に癒されながらも、一方で鶯を失くした罪責の念に悶々とするばかり。もはや、明日をも知れぬ身と嘆く只次郎が瀕した大厄災の意外な真相とは。美味しい料理と癒しに満ちた連作時代小説、新シリーズ開幕。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

そのせいか文章に慣れるまでちょっと時間がかかってしまいました。同じ行を何度が読んでしまったりして・・。1話目の後半に差し掛かる頃にはすっかりはまっていて、登場人物たちも魅力的で次々読み進めました。

1話目が、只次郎という武士(とはいえ、町人のような気さくさをもつ男性)の視点で描かれていて、女将・お妙はちょっと謎めいた存在だったので、このまま私生活は明かされずに進むのか?と思っていたら、次からはお妙の視点でも描かれていました。

素朴な料理を出す「ぜんや」。町人はもちろん、只次郎のような武士にも贔屓にされてなかなか繁盛しています。名物は美人女将・お妙。そして、その義理の姉・お勝。

お妙は顔と料理の腕が魅力なのですが、穏やかな性格も人気の理由です。一方、お勝はお妙の亡き夫の姉なのですが、年齢もいっていますし、はっきり言って美人とは言い難いのですが、サバサバした性格が魅力。

誰が相手でも言いたいことをはっきり言ってしまうのが、逆に心地良いと思われているようです。

そんな2人の魅力と美味しい料理でもてなしてくれるので、常連がたくさんいるのも納得です。

「ぜんや」には、只次郎が持ち込む問題や、他のお客が絡んだ問題などが持ち込まれ、それをみんなで解決していくわけですが、そこにはこの時代の人たちの苦労や生き方などが描かれています。

只次郎も気楽な次男坊となってはいますが、次男坊ならではの苦労もあるようです。

この只次郎を始め、出てくる人たちがそれぞれ良いキャラクターで、すっかり魅了されてしまいました。

シリーズは続いているようなので、忘れないうちに続きも手に入れたいです。


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タグ:今井希久子

2018年08月27日

買った本

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 妃川螢 著
 「お弁当代行屋さんの届けもの」
 (富士見L文庫)


ネットでの感想を見て面白そうだったので買って読んでみました。


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 柴田よしき 著
 「聖母の深き淵」
 (角川文庫)


RIKOシリーズ第2弾。どうしても本屋さんで見つからず、ネットで購入しました。1作目をすっかり忘れていたので読むのに苦戦・・。


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 西條奈加 著
 「大川契り―善人長屋―」
 (新潮文庫)


お気に入りのシリーズ3作目。やっぱり面白かったです。

2018年08月24日

西條奈加「秋葉原先留交番 ゆうれい付き」

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 西條奈加 著
 「秋葉原先留交番 ゆうれい付き」
 (角川文庫)


電気とオタクの街―秋葉原。その交番に勤める権田は、筋金入りのオタク警官。対してコンビを組む長身イケメン警官・向谷は頭はからっぽだが、類い稀なコミュニケーション能力の持ち主。ひいては美脚の「足だけの幽霊」を連れてきてしまった。2人は「足子さん」と呼び、彼女の死の理由を探し始める。フィギュア盗難、抱きつき魔、迷子、メイド喫茶のいさかい・・ご当地ならではの「謎」に凸凹警官が挑む、新境地人情ミステリ!−裏表紙より−


東京とは縁のない人生を送っていますし、秋葉原は名前は知っていますしどんな街かは何となく知っていますが一度も行ったことが無い身としては、この話の舞台は想像するしかないわけですが、とりあえずオタクさんとメイドさんがいっぱいいるんだね〜ということはわかりました。日本っぽくない感じ??

そんな秋葉原の交番に勤める権田は、いわゆるオタクさん。交番の控室にはフィギュアやポスターなどを置いているくらいの筋金入り。その手の知識も豊富なので、オタクさんからは頼られる存在です。そして、とても頭が切れる人。事件をスマートに解決していきます。ただ、見た目はぽっちゃり系。

もう一人いる警官は、長身のイケメンで人付き合いもうまくて女性を惹きつけてしまう魅力の持ち主なのに、頭の回転がすこぶる鈍い向谷。

向谷が、女性をエスコートしながら交番に戻って来るところから話は始まります。その女性・季穂の視点で話は進められます。読み始めは普通の女性だと思うのですが、途中から何だかおかしな展開に。

どうやら彼女は幽霊らしい・・。向谷は、霊感が強くて、幽霊になった季穂のことがしっかり見えるのです。でも季穂はどうやら足だけの幽霊みたいです。

足だけなのに周りは見えるし、感情もあるという謎の現象が起きるのですが、まあそこは幽霊なので・・。

でも、さすがに口が無いからしゃべることが出来ず、足だけで何とかコミュニケーションを取らないといけなくて、ガニ股にしたり内股にしたりして、「はい」「いいえ」を伝えることになりました。

名前はわからないから「足子さん」と名付けられてしまいます・・何て安易な!


季穂がなぜ幽霊になったのか、なぜ足だけなのか、この世に未練があるであろう彼女の人生と死の原因を突き止めるために動き始めます。

前半はほぼ季穂とは関係のない事件を解決していくのですが、最後には悲しい事件が明らかにされていきます。結構コミカルに描かれているのについ涙してしまいました。

これで季穂も成仏する・・と思ったら・・・・。


どうやら続きそうな展開。警官二人のことも、足子さんこと季穂のことも気に入ったので、続編が出たらぜひ読みたいです。

足だけでやれることって限られているでしょうが、限界に挑戦してもらいたいものです。


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2018年08月22日

藤崎翔「神様の裏の顔」

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 藤崎翔 著
 「神様の裏の顔」
 (角川文庫)


神様のような清廉潔白な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみに包まれ、誰もが涙した。・・のだが、参列者たちが「神様」を偲ぶ中、とんでもない疑惑が。実は坪井は、凶悪な犯罪者だったのではないか・・。坪井の美しい娘、後輩教師、教え子のアラフォー男性と今時ギャル、ご近所の主婦とお笑い芸人。二転三転する彼らの推理は!?どんでん返しの結末に話題騒然!!第34回横溝正史ミステリ大賞≪大賞≫受賞の衝撃ミステリ!−裏表紙より−


「こんにちは刑事ちゃん」が面白かったので、作家さん買いをしてみました。「こんにちは〜」の時も思いましたが、面白い発想をする作家さんです。


神様のようだと評されていた教師・坪井が亡くなり、その通夜が話の舞台になっています。いきなり通夜の場面からスタート。亡くなった坪井は一切自分では語ることは出来ませんが、通夜に参列した人たちから坪井の人物像について様々語られていき、それによって読者は故人がどんな人物だったかを知っていきます。

こういう話の進め方をすることで、どんどんミスリードされていくわけですが。

それぞれの場面で、参列者たちの視点で話は進みます。そして、どんな知り合いだったのか、故人をどういう風に思っていたのか、エピソードも交えて語られていきます。

参列者の思い出話に浸っているうちに、通夜も進んでいきます。

気づけば、参列者たちはふとした疑問を感じるようになり、何となく流れて参列者たちが集まって話し合うことに。そこで話し合われるのは、故人の意外な一面・・。


ここからどんどん話は意外な方向へ転がっていきます。その転がり方が面白い! 一人が言い出したら「そういえば私も」的に話が膨らんでいく様子が面白いです。こういうことってあるな〜と感心。

あっという間に故人のイメージが覆ってしまいます。

発言が強い人によって自分の考えも変化していくのを目の当たりにすると、ニヤニヤが止まらなくなります。

なるほど、これがどんでん返しか〜と思っていたら・・・・ここからはぜひ読んでみて下さい。

とはいえ、最後の場面はちょっと納得しにくいんですけどね・・。まあよくある展開ともいえるかも?


次は「こんにちは刑事ちゃん」の第2弾に期待したいです。




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タグ:藤崎翔

2018年08月20日

吉永南央「まひるまの星 紅雲町珈琲屋こよみ」

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 吉永南央 著
 「まひるまの星 紅雲町珈琲屋こよみ」
 (文春文庫)


紅雲町では山車蔵の移転問題が持ち上がり、お草が営む小蔵屋の敷地が第一候補に。話し合いが必要だが、お草は母の言いつけで「うなぎの小川」とは絶縁状態で、話し合いができない。かつては親友だった女将と亡母の間に、なにがあったのか。紅雲町を歩き回るうち、お草は町全体に関わる重い事実にたどり着く。シリーズ第5弾。−裏表紙より−


5作目になるこのシリーズ。今作が今までで一番展開が激しくて面白かったかも。お草さんも行動的でしたし。ただ、お年寄りですから、無理しすぎてハラハラするところもあったのですが。もっと久実ちゃんに任せても良いのかな?とも思いました。

ちょっと気弱になる場面もあったので、もっと元気なお草さんが読みたかったです。でも話の内容としては面白かったです。


紅雲町の山車蔵を移転しなければならないことになり、古い契約のせいで小蔵屋の敷地が第一候補にされてしまいます。さすがに敷地内に山車蔵が出来てしまったら営業は続けられないので、閉店することになるかも!?という事態に。

お草としては「まあそれも仕方ないか」と諦めの気持ちにもなっていたのですが、久実を始め常連たちからの強い要望もあって、他に候補地はないか?と一通り探ることになりました。

そこで候補に挙がったのが、「うなぎの小川」の向かい側にある工場跡地。そこに移動させたら便利なことも多いと思われたのですが、実は小川の女将と絶縁状態になっているお草が関わっているせいでなかなか移転させられそうにもありません。

誰とでも大抵仲良くやっていけるはずのお草がどうして小川の女将と絶縁状態なのか? そこには亡き母の言いつけがありました。昔は親友だったはずの女将と亡母との間には何があったのか? 亡き母が遺していった女将に渡すはずの着物も引き出しにあるのを見つけて複雑な心境になってしまいます。


普段は慎重なお草さんですが、お母さんのことが絡むと冷静ではいられないようです。心のどこかでは「亡くなった人のことをいつまでも気にしたって仕方ない」と思っているのですが、その相手が母親となると無下にも出来ず・・。

その気持ちはわかりますが、何せ亡くなっているので詳しい事情を聞けなくて大変な苦労を強いられることに。


最後には、一個人ではなく町全体に関わる大きな出来事になってしまいますが、それぞれが反省すべき点は反省して進んでいきそうなので丸く収まって良かったです。

お草さんの元気な姿にもまた会えそうなので、続きを楽しみにしておきます。

<紅雲町珈琲屋こよみ>
「萩を揺らす雨」
「その日まで」
「名もなき花の」
「糸切り」


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タグ:吉永南央

2018年08月16日

シャンナ・スウェンドソン「魔法使いの陰謀」

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 シャンナ・スウェンドソン 著
  今泉敦子 訳
 「魔法使いの陰謀」
 (創元推理文庫)


妖精界の女王の座を祖母に譲ったソフィーは、バレエダンサーとしてのキャリアを再開する。一方刑事マイケルは、妖精の関与が疑われる奇妙な事件の数々に振り回されていた。そんな彼らの前の現れた魔法使いのジョセフィーンはそれらの事件を妖精の仕業と決めつけ、魔法使いと妖精の対立を煽る。危機感を覚えたソフィーは戦いを阻止すべく動きはじめるが・・。好評シリーズ第3弾。−裏表紙より−


前作から面白くなってきたシリーズ。今作は更にパワーアップして面白さも増していました。3作の中で一番好きかも。


前作で女王の座を祖母に任せて人間界に戻ったソフィー。祖母も強力なパワーの持ち主ですから安心していたのですが、なかなかすべてが丸く収まるわけにはいかないようです。

またまた人間界で謎の事件が発生し、刑事としてのマイケルが出動。でも明らかに妖精がらみとわかる事件をどうやって解決していくか難しい立場に立たされます。

そして、新たなキャラクターも登場。なかなか厄介な相手となったジョセフィーヌ。彼女は魔法使いです。妖精を人間界に入れないために戦う立場の人。ソフィーの味方となってくれている姉妹と同じ立場ですが、どうも敵対心が強そう。

しかも何やら画策しているようで、ソフィーが女王の座に就いて落ち着いたはずの人間界と妖精界の関係がまた危うくなっていきました。

題名の通りの展開ですね。

ソフィーや祖母、そしてマイケルがどうやって事態を収束させていくのか、続きが気になって次々読み進めました。


ソフィーとマイケルも良い感じになってきましたし、祖母の女王ぶりもかっこいいですし、妖精、人間、魔法使いという3つの立場の争いもハラハラさせられて、面白かったです。

どんな世界でも権力を握りたい人、目立ちたい人っているんですね〜。その必死さが面白いです。


良い感じでまとまってきたこのシリーズ。後1作あるようです。楽しみに待つことにします。そして「魔法製作所」シリーズの新作も待っています!


<フェアリーテイルシリーズ>
「ニューヨーク妖精物語」
「女王のジレンマ」


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2018年08月15日

柴田よしき「風のベーコンサンド」

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 柴田よしき 著
 「風のベーコンサンド 高原カフェ日誌season1」
 (文春文庫)


東京の出版社をやめ、寂れた高原にカフェを開業した奈穂。離婚を承諾しないモラハラ夫から逃れ、背水の陣で始めたカフェには、離れた娘を思う父や農家の嫁に疲れた女性らが訪れる・・。滋味溢れる地元の食材で作られた美味しいご飯は悩みや痛みに立ち向かう力をくれる。奈穂のご飯が奇跡を起こす六つの物語。−裏表紙より−


年齢は奈穂の方がかなり若そうですが、共通することが多くて、いちいち「そうだよね〜」なんて思いながら読み進めました。そんな入り込み方をすると読むのが辛い部分も多くてしんどくなることもありました。

でも基本的に一話ずつハッピーエンドになっている(なっていないのもある)ので最後には癒されていました。


東京という都会で暮らしていた奈穂ですが、夫との離婚を考える上で、今の生活を変えようと高原でカフェを開くことに。カフェって儲からないイメージがあるのに、よく思い切ったな〜と感心。こういう思い切りの良さは似ていません・・。

田舎に住んでいたので、田舎への憧れもありませんし、狭いコミュニティーでの煩わしさも嫌でしかありませんが、奈穂はうまく田舎に溶け込んでいるようです。

近所の農家や牧場から食材を買い付けて、うまく地元の食材で美味しそうな料理を作っています。料理の説明がいちいち美味しそうで、読んでいるとおなかが空きます。

特にベーコンの細かい描写! 基本、サンドイッチって好きじゃないですし、カリカリのベーコンも好きではないのですが、文章を読んでいるとベーコンを買いに走りたくなりました。

そして、カリカリに焼いてみようかな??なんて思ってしまいます。


離婚したい妻と、妻がなぜ離婚を考えたのかわからない夫。こういう夫婦って多そうですね。奈穂の夫もなかなかの曲者。ちょっとだけ同情したくなる部分はありましたけど、イライラさせられました。男性の「やったってるやろ」感、大嫌いです。

夫のことはともかく、奈穂の今の生活は羨ましいものですから、今後はどんどん幸せに向かっていくでしょう。シリーズは続いているようなので、文庫化を待って読む予定です。


カフェごはんのレシピも付いていてお得ですよ〜。


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2018年08月09日

西條奈加「ごんたくれ」

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 西條奈加 著
 「ごんたくれ」
 (光文社文庫)


安永四年、京都。当代一の絵師を目指す豊蔵と彦太郎は、ひょんなことで奇跡の出会いを果たす。喧嘩しながら才能を認め合い、切磋琢磨し腕を磨く若きふたり。鼻つまみ者の「ごんたくれ」と呼ばれた彼らは、求めた道の先に何を見たか?京画壇の華やかなりし時代、実在した二人の奇想の絵師をモデルに、芸術を探求する人間の性と運命を描き出した、傑作時代小説。−裏表紙より−


実在した絵師をモデルにした物語です。

大きな絵師に弟子入りすることもなく自立した絵師の筝白と、円山応挙という大勢の弟子を抱える一門に所属している胡雪。2人はあるきっかけで出会います。


筝白は、円山応挙の絵を認めておらず、大した腕もないのに有名になってもてはやされていることに腹を立てていました。でも弟子の胡雪の絵の才能は認めていて、早く独立するように勧めることもありました。

2人は似ている所が多く、周りから「ごんたくれ」だと言われています。性格には難のある2人ですが、絵の才能は素晴らしく、名は売れていませんでしたが、熱烈なファンはいるため、それなりに仕事を受けて絵を描き続けていました。

この時代は、商家や武家や寺社からの注文を受けて、襖や屏風などに絵を描いていました。大きな屋敷だと、何枚もに渡って大作を仕上げることも。

失敗は許されない仕事ですね。頼まれる方も勇気がいりますが、頼む方も勇気が要りそう・・。実際、思った雰囲気と違うものが出来ることもあったようです。

でもまあ、一緒に暮らしているうちに何となく慣れるというか、愛着が湧いてくるようです。

大作の場合は、描きあがるまで時間がかかるため、寝食の世話も注文主が行い、泊まり込んで製作してもらっていたそうです。かなりの贅沢ですね!


話の中には実在していた有名な絵師も出てきます。日本画に詳しくない私でも名前だけは知っている、池大雅、伊藤若冲など。本当にこの中に描かれているような性格だったのかはわかりませんが、そういう部分でも楽しめました。

始めは未熟だった2人の若い絵師がどんな想いで作品を仕上げ、どんな人生を歩んでいくのか、どんな絵師になっていくのかが気になって次々読み進めました。

ページ数も多く、2人の人生をたっぷり読むことが出来て、面白い読書時間になりました。


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2018年08月07日

深町秋生「ドッグ・メーカー」

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 深町秋生 著
 「ドッグ・メーカー」
 (新潮文庫)


黒滝誠治警部補、非合法な手段を辞さず、数々の事件を解決してきた元凄腕刑事。現在は人事一課に所属している。ひと月前、赤坂署の悪徳刑事を内偵中の同僚が何者かに殺害された。黒滝は、希代の“寝業師”白幡警務部長、美しくも苛烈なキャリア相馬美貴の命を受け、捜査を開始する。その行く手は修羅道へと繋がっていた。猛毒を以て巨悪を倒す。最も危険な監察が警察小説の新たな扉を開く。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

警察小説・・ではあるのですが、普通の警察小説とは違いました。大抵は捜査一課などの刑事さんたちの物語なのですが、これは監察。警察の中の警察のような部署なので、刑事たちからも嫌われる存在の人たちです。

しかも、主人公の黒滝は「ドッグ・メーカー」というあだ名が付けられる人物。よく警察小説を読む人にはわかると思いますが、警察のスパイのようなことをする人のことを「イヌ」と呼び、そういうスパイを人の弱みを握って作り上げるから「ドッグ・メーカー」。

決して良いあだ名ではないのですが、そのあだ名に負けないくらいの活躍ぶりで、弱みを見せた人物に首輪をはめていきます。

首輪をはめるだけならともかく、その首輪から抜け出さないように、緩まないように、常に監視を怠らず、時には叱り脅し、時には褒めて伸ばしていきます。それを大の大人に対して行うのですから恐ろしいことです。


そんなことをするわけですから、黒滝の言動には思わず顔をしかめたくなるようなことも多く、読むのに時間がかかりました。でも、話の内容は面白くて続きが気になって次々読みたいし・・となかなか難しい読書時間になりました。


内容ももし本当に警察内部が現実にもこんなに腐っていたらどうなるんだろう?と不安になる物で、決して読んでいて気持ちいい物ではありませんでした。

でも読み終わったら、このシリーズの続きも読みたくなるという不思議な感覚になりました。

何だかんだ言って、結局黒滝のことも他の警察官たちのことも気に入ったということなんですよね。上司たちも不思議な雰囲気で、まだ謎がありそうですし、ここまで強く自分の道を貫ける人たちがいれば警察も大丈夫だろうと思えましたし、きっと見つけたら続きも読むと思います。


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タグ:深町秋生

2018年08月06日

レイ・ペリー「ガイコツは眠らずに捜査する」

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 レイ・ペリー 著
  木下淳子 訳
 「ガイコツは眠らずに捜査する」
 (創元推理文庫)


大学講師の母と高校生の娘、お喋りな骸骨シドの三名が愉快に暮らすサッカリー家。娘マディソンが出演する劇に、シドも頭蓋骨だけ参加することとなった。ところがある日の練習後、頭だけ学校で一夜を過ごす羽目に。翌日回収されたシドは、“殺人”の音を聞いたと言う。そんな事件は報道されていないが、母ジョージアは親友を信じ調べはじめる。真相をあばくのは母娘と骸骨の絆?―裏表紙より―


前作を読んで気に入ったので、再び献本になっていたのを見つけて「本が好き!」で申し込みました。


前作では娘・マディソンはシドの存在を知らなかったのですが、今作ではばれてしまっているのでシドの行動が大胆に。ばれないようにコソコソするのも面白かったですが、行動範囲が広がっても面白かったです。

今回はなんと、マディソンの通う高校にまで出かけて行きます。しかも頭だけ。劇の小道具に使われるために登校するなんて・・。家に頭蓋骨がある高校生って何なんだ??怪しすぎます! でもそこは誰も突っ込まずサラッと流されて受け入れられているようです。

毎日当然持って帰るつもりだったシドの頭を、色々な偶然によって忘れて帰ったマディソン。翌日あわてて回収したら、シドが殺人を目撃、いや耳撃?聴撃?したと言うのです。声がしても頭だけだと動けないシドは、殺人と思われる物音と話声だけを聞いたわけです。

でも殺人ということは死体があるはずなのに、発見されたというニュースは無く、なかなか事件が発覚しません。

事件が発覚するまでにも紆余曲折あり、発覚後もその遺体が本当にシドが聞いたときの物なのかも不明で、調査は難航します。


今回は事件と共に、ジョージアが働く環境、特に非常勤講師の待遇の悪さ、そしてアメリカの大学受験の裏側なんかが描かれていて興味深く読めました。

アメリカって大学に入るのは簡単だけど卒業するのが難しいというイメージだったのですが、それなりに大変なようです。

ジョージアは授業もうまくて、頭も良いようですが、非常勤講師に留まっているのはなぜなのか?その辺りの事情もわかりました。

そして、シドがどんな思いを抱えながら一家の中で暮らしているのかもわかり、ちょっと切なくなりました。人間誰しも誰かの役に立ちたいといつも願っているんですよね・・骸骨も同じだそうです。


次作では、シドにも新たな目標や生きる(?)意味が見つかりそうで、ますます読むのが楽しみになりました。訳されるのを待つことにします。


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2018年08月03日

渡辺淳子「東京近江寮食堂」

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 渡辺淳子 著
 「東京近江寮食堂」
 (光文社文庫)


定年退職を間近に控えた妙子は、十年前に消えた夫の行方を探すため東京にやってきた。慣れない土地でのひょんなトラブルから、谷中にある宿泊施設、近江寮にたどりつく。個性的な管理人や常連客の貧しい食生活を見かねた妙子は彼らの食事を作り始めるが、その料理はやがて人々を動かし、運命を変えていく。そして彼女自身も―。おいしくてせつない、感動長編。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

この本を読んだ頃は、妙に食べ物系の小説を読むことが多かったので、他の作品と内容が混ざりそう・・。

まあ、これはちょっと変わった設定だったので大丈夫ですけど。


妙子が働くことになったのは、近江寮という名前の宿泊施設。東京にあるのですが、滋賀県出身の人のための施設です。話す言葉が関西弁なので読みやすいかと思ったら、関西弁でも滋賀県はちょっと違うようで、妙に気になってなかなか進まず。会話の場面では何度も読み返すことがありました。

妙子は行方不明になった夫を探すために東京に来たのですが、夫の知らない一面を知ることになって、落ち込むことも。それでも寮の人たちに料理を作ることで気が紛れていました。

寮には、安江という妙子と同じくらいの年齢の女性がいて、彼女が寮を任されていたのですが、料理が苦手で評判はイマイチでした。妙子のお陰で商売も上向いてきたことで、安江も妙子の夫探しに協力します。

二人の関係は、言いたいことを言い合ってケンカもしつつ素敵な感じです。昔からの知り合いのよう。たぶん、昔から知り合いだったらここまで仲良くはなれないのでしょうけど。


更に素敵だったのは、安江の母・ヨシ子。彼女はかなり痴呆が進んでいるため、空気を読めない発言が多いですし、意味のない言葉もよく話すのですが、時々人にグサッと刺さる鋭い一言を放つのです。

書き出してみようかとも思ったのですが、言葉自体はそれほどでもないので書くのはやめます。でも「なるほど」と思わされることが多く、読んでいても爽快でした。

このままサラリと読んでしまえるかと思ったら、最後の方で号泣してしまいました・・。なんか良いな〜人との関わりって、なんて思わされる作品でした。

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タグ:渡辺淳子
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2018年08月02日

7月のまとめ

ねむりねずみ (創元推理文庫)ねむりねずみ (創元推理文庫)
歌舞伎役者って大変だ・・。ここまで命を削るようにして役になりきるというか、役に成り代わるなんて。それを支える奥様も大変です。とはいえ、事件はすっきりしない展開と解決。結末が気に入りませんが、途中までは一気読みでした。
読了日:07月03日 著者:近藤 史恵


犯罪者 上 (角川文庫)犯罪者 上 (角川文庫)
面白くて、真相が知りたくてたまらないのに、なかなか読み終わらず。やっと読み終わってもまだ半分・・。かなり真相に近づいては来ていますが、わからないこともたくさん。どんな結末を迎えるのか、残りのページ数は何に使うのか?今度こそ早く読み終わるか??
読了日:07月18日 著者:太田 愛


犯罪者 下 (角川文庫)犯罪者 下 (角川文庫)
下巻はほぼ一気読みでした。上巻でかなり謎が判明してきていたので、残りのページをどうするのか?と不安でしたが、なるほどここまでドタバタがあったら長くなるわ〜。後味はイマイチすっきり出来ない感じでしたけど、まあ正義は勝った??ということで良しとします。この3人の話が他にもあるそうなので、そちらも読んでみようかな?
読了日:07月21日 著者:太田 愛


み仏のかんばせ (小学館文庫)み仏のかんばせ (小学館文庫)
もう少し盛り上がりが欲しかった気がしますが、読みやすい作品でした。泣ける要素はいっぱいあったのに、泣けなかったのが残念。
読了日:07月26日 著者:安住 洋子


森のシェフぶたぶた (光文社文庫)森のシェフぶたぶた (光文社文庫)
今回のぶたぶたさんはオーベルジュでシェフをしています。とにかく美味しそうな料理の数々におなかがすいてしまう内容でした。1話目は平和に過ぎましたが、それ以降は色々悩みを抱えた人たちがやって来て、でもぶたぶたさんに癒されて帰って行きました。今回も素敵でした。
読了日:07月27日 著者:矢崎 存美



全部で5冊。前半、時間がかかる本を読んだ割には読めたかな?と。とはいえ少ないですね・・。

印象に残ったのは「犯罪者」です。

posted by DONA at 14:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ