2018年06月19日

宮下奈都「羊と鋼の森」

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 宮下奈都 著
 「羊と鋼の森」
 (文春文庫)


高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。ひたすら音と向き合い、人と向き合う外村。個性豊かな先輩たちや双子の姉妹に囲まれながら、調律の森へと深く分け入っていく―。一人の青年が成長する姿を温かく静謐な筆致で描いた感動作。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。映画化されたそうですね。

単行本のときからずっと気になっていた作品でした。題名も気になりますし、内容も。ピアノ調律師の話だなんて。どうやって一冊描かれるのか?興味津々でした。

読んでみて、私がピアノ調律師に対して軽い気持ちでいたということがよくわかりました。奥が深いんですね。一流のピアニストの方たちは調律に対してもこだわりがあって、お気に入りの調律師がいたり、好みの音を作るように言ったりするというのは知っていましたが、一般人でもこだわる人はこだわるんだ・・と驚かされました。

私もピアノがほんの少々弾くので、調律はしてもらうのですが、調律師の方に「弾いてみて下さい」とか「これで良いですか?」なんて言われた記憶がありません。

もし言われて弾いても違いがわからないかも・・。

ご自分で弾かれて「違うでしょ?」と言われたことはありますが、はっきり言ってわかりませんでした。

みんなそんな感じなんだと思っていたのでショックでした。きちんと音にこだわって「こんな感じの音」としっかり好みが伝えられるんですね。どうすればそんな風になれるんだろうか??


憧れのピアノ調律師になれた外村という青年が成長していく物語なのですが、調律師としてだけではなく、人として大人として男性としてどのように成長していけば良いのか悩んで苦しんでいきます。

素敵な先輩たちに囲まれて、その仕事ぶりを参考にしたり、依頼者たちに教えられたりしながら、自分なりの「音」を探していきます。


全体的に柔らかい文章で描かれていて、常に木に囲まれているような、鳥のさえずりや小雨の降る音なんかが聞こえてきそうな雰囲気の物語でした。

盛り上がりがほとんどないのですが、淡々と流れる感じがまた心地よかったです。題名も素敵です。


そういえば、調律さぼってるな〜と思い出したので、近々頼まないと・・。



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タグ:宮下奈都
posted by DONA at 15:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2018年06月11日

柴田よしき「桃色東京塔」

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 柴田よしき 著
 「桃色東京塔」
 (文春文庫)


警視庁捜査一課に配属されながら、事件で失敗し出世の道を閉ざされた黒田岳彦。一方、過疎の村にあるT県警上野山署捜査課係長の小倉日菜子は警官の夫を職務中に亡くしていた。捜査を通じて心を通わせてゆくが、いくつかの事件がふたりの距離を変えはじめる。悩み、葛藤する男女を描く「遠距離恋愛」警察小説。−裏表紙より−


この作家さんの警察小説を読むのは久しぶり・・と思いつつ読んでいたら、どうも警察小説という内容ではなくてちょっと残念。

とはいえ、やっぱり私に合うのか読みやすいんですけどね。


黒田岳彦という捜査一課で第一線で活躍していた刑事がつまずき、歩むべき道を模索しながら、とある田舎へ捜査に向かっている所から始まります。

田舎だからバスも来ない、タクシーもないと嘆いていると、地元の警察から女性警官・日菜子が迎えにやってきます。彼女もどうやら何か心に傷を受けている様子。

黒田と共に捜査しながら、お互いに何となく惹かれ合っていきます。

という感じで、だんだん恋愛要素が濃くなっていくわけですが、恋愛小説が苦手な私が嫌になるほどの濃さではなく、それよりも田舎の村で暮らすというのはどういうことなのか、暮らしている人々の苦しさや悩みなどが主に描かれていて、東京という都会に憧れを抱いている様子も彼女の痛々しい描写で描かれています。

私も田舎に住んでいたのですが、ここまで過疎化した村というわけでは無かったですし、生まれてから死ぬまでそこで生きていくというわけでもなかったので、村で暮らす辛さはわかりませんでした。

狭い世界で生きる辛さや苦しさというのは、学生時代にも似ている気がします。ここで否定されたら生きていけない・・という気持ちにさせられますよね。そう思えば何となく苦労がわかる気がします。

2人がうまく刺激し合って心を癒していく、大人の恋愛は障害は多いものの、絆は深そうで素敵だと思えました。良い関係を築いていけそうな雰囲気で終わっていたのは良かったです。


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posted by DONA at 14:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:柴田よしき

2018年06月04日

5月のまとめ

知識ゼロからの西洋絵画 困った巨匠対決知識ゼロからの西洋絵画 困った巨匠対決
名前だけは聞いたことのある画家、逆に名前はよく知らなかったけど絵は見たことある画家、色んな画家のことを知ることが出来て勉強になりました。面白い視点で書かれているのでとても読みやすかったです。絵を見るときにこういう見方をしたら更に楽しめそうです。
読了日:05月06日 著者:山田 五郎



ごんたくれ (光文社時代小説文庫)ごんたくれ (光文社時代小説文庫)
面白くて次々読んだ割には時間がかかりました。絵師たちの人生を色々な角度から描いてあって、同じ物を題材に絵を描いてもそれぞれの人生や考え方が投影されて全く違うものになる面白さを知りました。ごんたくれ2人の関係性もうらやましいと思ってしまうくらい、2人のことが好きになりました。
読了日:05月14日 著者:西條 奈加



ドッグ・メーカー: 警視庁人事一課監察係 黒滝誠治 (新潮文庫)ドッグ・メーカー: 警視庁人事一課監察係 黒滝誠治 (新潮文庫)
時々、汚い言葉遣いが引っ掛かりつつ、黒滝の横暴さに辟易しつつ、でも先が気になって次々読み進めました。警察ってこんなに腐ってるのか??と現実社会でも心配になるくらいリアルでゾクゾクさせられました。ここまで腹の座った警察官っていなさそうですけど・・。
読了日:05月23日 著者:深町 秋生



風のベーコンサンド 高原カフェ日誌 (文春文庫 し 34-19)風のベーコンサンド 高原カフェ日誌 (文春文庫)
田舎暮らしをしたら癒されるということは無いですが、それ以外の部分では共感できる所がたくさんある奈穂に自分を重ね合わせるようにして読みました。そんな読み方をすると苦しくなるところもありましたが、全体的に幸せな流れがあって嬉しくもなりました。続編も出てくれそうなので、ぜひ読みたいです。出てくる料理が美味しそう!
読了日:05月29日 著者:柴田 よしき


今回も4冊と少なかったです。しかも、内1冊はほとんど絵だったというのに。

特に印象に残ったのは「ごんたくれ」「風のベーコンサンド」です。

posted by DONA at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ