2016年10月28日

名取佐和子「金曜日の本屋さん」

9784758440295.jpg

 名取佐和子 著
 「金曜日の本屋さん」
 (ハルキ文庫)


ある日、「北関東の小さな駅の中にある本屋は読みたい本が見つかる本屋″らしい」というネット上の噂を目にした大学生の倉井史弥。病床の父に以前借りた本を返すように言われたが、じつは失くしてしまっていた。藁にもすがる思いで、噂の駅ナカ書店<金曜堂>を訪ねる彼を出迎えたのは、底抜けに明るい笑顔の女店長・南槇乃。倉井は南に一目惚れをして―。人と本との運命的な出会いを描くハートウォーミングストーリー、開店!−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

本好きにとってたまらない内容の作品みたいだったので読んでみることにしました。

だって「読みたい本が見つかる本屋」ですよ!? 最高じゃないですか! 

普段、どれだけ読みたい本が見つからないことか。いつになったら見つかるのか、もしかしたらもう古本でしか見つからないかも、という本さえあります。でも私は古本は無理なので、あきらめるしかない物もたくさんあります。

そういう本たちが見つかるなら、リストを持って買いに行きたいです。

という感じでワクワクしながら読み進めました。

その本屋さんは、本が見つかる以外にもワクワクする所があったんです。それは、地下に書庫がある! 地下鉄を作るはずだった部分を使って書庫にしていて、想像しただけで楽しくなります。

駅のホーム全体に本棚があって、本がずらりと並んでいるなんて最高でしょう!

それだけでも見に行きたいです。


話の内容は、何だかビブリア古書堂と雰囲気が似ている気がしました。美人の女店主と、彼女に憧れる若者バイト。設定も似ていますし、お客さんが本のことを質問して店主が答えて、本を見つけ出すところとか、本が絡んだちょっとした謎と謎解きとか、よく似ています。

バイトくんが本を読めない所も同じだと思ったら、こちらのバイトくんはただの思い込みで、実際は読書好きだったのですが、そこも似ていますね。

店主とバイトくんの恋物語がうっとおしいと感じるのも同じ。その辺りを少なめに書いていただけると楽しめると思います。


バイトくんが読書を嫌っていた理由というのが、本を読んでもきちんと理解できていると思えないからで、自分で「読書をする資格がない」と言っていました。

そんな彼に、店主が

「読書は究極の個人体験です。人によって響く部分が違うのは、当たり前なのです。作者の思いやテーマを汲み取る努力を、読者がしなければならない義理はありません。好きに読めばいいんです。感想を誰かと同じになんかしなくていいんです」

と言って彼を励まし、読書ができるようになりました。


私も他の人と感想が違うとか、きちんとテーマを読み切れていないとかよく感じていたので、彼女の言葉にはちょっと安心させられました。

感想が人と違っても良いんだ、という当たり前のことに改めて気づかせてもらえただけでも、この本を読んで良かったです。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:名取佐和子

2016年10月27日

買った本

9784062775328_w.jpg
 
 安藤祐介 著
 「被取締役新入社員」
 (講談社文庫)


表紙を含め、ネットでの感想を読んで面白そうだったので購入。サラッと明るい気分で読めたら良いな。


43012.jpg
 
 西條奈加 著
 「いつもが消えた日 お蔦さんの神楽坂日記」
 (創元推理文庫)


シリーズ2作目。こちらはしっとりかな?


次々買うのは良いけど、積んでいる本が減らない・・。

2016年10月20日

池井戸潤「七つの会議」

978-4-08-745412-3.jpg

 池井戸潤 著
 「七つの会議」
 (集英社文庫)


きっかけはパワハラだった!トップセールスマンのエリート課長を社内委員会に訴えたのは、歳上の部下だった。そして委員会が下した不可解な人事。いったい二人の間に何があったのか。今、会社で何が起きているのか。事態の収拾を命じられた原島は、親会社と取引先を巻き込んだ大掛かりな会社の秘密に迫る。ありふれた中堅メーカーを舞台に繰り広げられる迫真の物語。傑作クライム・ノベル。−裏表紙より−


あらすじを読むと、まるで原島が主役かのように書かれていますが、特に彼だけがメインというわけではありません。題名の通り、7話に分かれている連作短編になっているので、話毎に主役は代わっていきます。


全体を通して描かれているのは、あるメーカーの内部で起きている不可解な出来事について。事の発端は、エリート課長の降格人事。うだつの上がらない年上の部下からパワハラを訴えられて降格させられました。

普段からやる気のない、存在価値がないと思われていた社員が、営業部のエリート社員として期待されている課長を訴える。そんなことをしても、絶対に却下されるだろうと周りは思っていたのに、あっさりと降格が決まってしまいます。

そしてその部下はお咎めなし。降格した社員に代わって、原島が課長となります。そこで年上の部下からこっそりと秘密を打ち明けられ、顔色を変えます。

ここでも読者には何が起きているのか知らされないため、謎が深まったままになります。

次の話ではとある下請けの会社の様子が描かれます。コストダウンできないなら取引中止と言われたのに、担当が代わったとたんに掌を返したようにもう一度取引を持ち掛けられます。

ここでどうやら部品に何かあったらしい・・ということは、読者も気づけるようになっています。


その後も、会社内の色々な人物の視点で描かれる人間模様。そしてさり気なく、会社で起きている不可解な出来事の真相が明かされていきます。


その出来事についてはネタバレになるので書きませんが、現実の世界でもよく聞くようなことですね・・。

ニュースでもよく取り上げられています。

事がここまで大きくなる前に、誰か一人でも真相を明かせる人がいたら、会社はクリーンなままいられたのに。誰もかれもが自分の保身ばかり考えてしまうからこうなるわけです。


でも当事者になったらどうするかな?と思うとやっぱり明かすのは難しいのかもしれないとも思います。仕事がすべてではない、と言いながらもやはり安定した職業を捨てるのはかなりの勇気がいることです。

だからといって、消費者を蔑ろにするような事態もどうなんだ!?とも思いますし・・・。

途中から読んでいて怒りと共に苦しさも感じる話でした。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 15:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:池井戸潤

2016年10月17日

買った本

9784758440295.jpg
 
 名取佐和子 著
 「金曜日の本屋さん」
 (ハルキ文庫)


ネットで感想を読んで面白そうだったので購入。読み始めてみると、古書堂シリーズに似てる感じ?


9784309414263.jpg
 
 木皿泉 著
 「昨夜のカレー、明日のパン」
 (河出文庫)


こちらも面白そうだったので購入。面白い文体で、何度も引っかかりながら読み進め中。


09406315.jpg
 
 近藤史恵 著
 「胡蝶殺し」
 (小学館文庫)


お気に入りの作家さんなので、見つけたら購入。伝統芸能の話みたいです。

2016年10月11日

西條奈加「千年鬼」

893995.jpg

 西條奈加 著
 「千年鬼」
 (徳間文庫)


友だちになった小鬼から、過去世を見せられた少女は、心に<鬼の芽>を生じさせてしまった。小鬼は彼女を宿業から解き放つため、様々な時代に現れる<鬼の芽>―酒浸りで寝たきりの父のために奉公先で耐える少年、好きな人を殺した男を側仕えにして苛めぬく姫君、行商をしながら長屋で一人暮らす老婆、凶作が続く村で愛娘を捨てろと言われ憤る農夫、田舎から出て姉とともに色街で暮らす少女―を集める千年の旅を始めた。 精緻な筆致で紡がれる人と鬼の物語。−裏表紙より−


連作短編になっていて、4話までは小鬼が人の心に芽生える「鬼の芽」を吐き出させていく物語が続き、小鬼は天上の誰かに言われて、世の中を良くしようとしているのだと思っていました。

ところが、5話目になって時代が遡り、小鬼が民という少女と出会う場面が描かれたことで、これまでの話も実は全て一人の生まれ変わりなんだと気づかされます。

民が鬼の芽を芽生えさせる原因となった出来事が、本当に昔の日本で行われていたことなのかはわかりませんが、思わず顔をしかめたくなるようなことで、これは狂っても仕方ないと思えました。

そこからの小鬼と民の友情関係は痛々しいですが、心温まる物語で、最後は気づけば涙が流れているような、何とも言えない終わり方をしました。

ハッピーエンドとも言えるし、かわいそうでもあるし、でもこれで良かったのかもしれないとも思えます。これは、読んだ人それぞれ、感じ方が違うと思います。

私は心穏やかに読み終えることができました。「めでたし、めでたし」とは言いませんが、それに近い気持ちです。

苦しまなくて良くなっただけでもうれしくなりました。


鬼が出てくる時点でファンタジーなわけですが、普段ファンタジーを読まない人にも読んでもらいたいと思えるような素敵な作品でした。

この作家さんの作品はなかなか見つけられないのですが、早く探して読みたいと思います。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 15:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:西條奈加

2016年10月05日

伊坂幸太郎「残り全部バケーション」

978-4-08-745389-8.jpg

 伊坂幸太郎 著
 「残り全部バケーション」
 (集英社文庫)


当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として適当な携帯番号の相手と友達になること”を提示される。デタラメな番号で繋がった相手は離婚寸前の男。かくして岡田は解散間際の一家と共にドライブすることに―。その出会いは偶然か、必然か。裏切りと友情で結ばれる裏家業コンビの物語。−裏表紙より−


物語は、ある一家が最後の日を迎えている場面から始まります。父親の浮気が原因で離婚することになった夫婦と、寮に入るため家を出る娘の3人家族。この家族、特にお母さんが面白い人で、何かにつけてどっしり構えている感じが浮世離れしていてなかなか笑えました。

一家が最後に3人で出かけようとしているとき、場面が変わって今度は何やら怪しげな商売をしているらしい2人組の話に。当たり屋をやった2人ですが、後輩の岡田が先輩の溝口に対して、突然「足を洗いたい」と言い出します。

こんな商売をしていると、抜け出すのは大変だという印象ですが、意外とあっさりと「わかった」と了承される岡田。でも条件として「適当な携帯番号にメールしてその相手と友達になること」と言われます。よくわからない理由ですが、溝口にしてみれば、こういう条件を出せば失敗して離れられないだろうと思ったようです。

そこまで読むと、もしかして・・と思える展開です。この作家さんお得意の、一見関係なさそうな人物が実はつながっていくというあれですね!?と、ワクワクし始めます。

そう、予想通り始めに出てきた一家と、岡田は連絡を取り合うことに。怪しい商売をしている割にはスムーズに足を洗えたね〜と安心していると、まあそうもいかず一波乱。

2話目以降になると、また全然違う話に。でも違う話に思えてもつながっていくので、注意深く読み進めました。

そして最後の話で一気につながる爽快感!

登場人物たちのキャラクターが面白くて、悪いことをしているはずなのに憎めなくて、どこか抜けている所もあって、最後まで飽きずに読み切ることができました。

やっぱりこの作家さんの話は良いな〜。改めて感じる作品でした。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 
posted by DONA at 15:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:伊坂幸太郎

2016年10月01日

9月のまとめ

ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)
すぐに読み切れますが、心に刺さる内容でした。仕事に疲れている人にはグサグサ刺さると思います。これを読んで少しでも気持ちが軽くなれば良いですね。
読了日:9月2日 著者:北川恵海


なくし物をお探しの方は二番線へ 鉄道員・夏目壮太の奮闘 (幻冬舎文庫)なくし物をお探しの方は二番線へ 鉄道員・夏目壮太の奮闘 (幻冬舎文庫)
表紙の雰囲気よりは重い内容で、でも軽く読めて面白かったです。駅員や運転士などの仕事がどんなものかわかりますし、乗客たちの色々な人生も絡んで飽きずに読めます。どうやらシリーズ物らしいので、1作目も手に入れて読もうと思います。
読了日:9月4日 著者:二宮敦人


孤高のメス 死の淵よりの声 (幻冬舎文庫)孤高のメス 死の淵よりの声 (幻冬舎文庫)
シリーズなのにいきなりこの巻から読んだので、わからない登場人物が山のようにいました・・。それ以外にも次々人が出てきてはその人とのエピソードなんかも書かれていて、本筋を見失いそうになったり、誰が誰だか混乱したりして大変でした。でも主人公・当麻ドクターの人柄や手術シーンの臨場感に引き込まれていくように、気づけば読み終わっていました。1作目から読もうかな?でも巻数多いな・・と迷い中。
読了日:9月6日 著者:大鐘稔彦


時をかける眼鏡 新王と謎の暗殺者 (集英社オレンジ文庫)時をかける眼鏡 新王と謎の暗殺者 (集英社オレンジ文庫)
2作目も軽く読めるのですが、意外と深い内容でした。ミステリーとしては簡単というか、謎解きするまでもなく犯人が出てきてしまい、そこまで重要視されていませんが、それ以外の部分で充分楽しめます。
読了日:9月9日 著者:椹野道流


晴れた日は図書館へいこう (ポプラ文庫ピュアフル)晴れた日は図書館へいこう (ポプラ文庫ピュアフル)
ほのぼのと暖かくて優しいお話。殺伐としたミステリーが続いた後に読むとほっこり出来て良いかも。
読了日:9月13日 著者:緑川聖司


廉恥 警視庁強行犯係・樋口顕 (幻冬舎文庫)廉恥 警視庁強行犯係・樋口顕 (幻冬舎文庫)
やっと出たシリーズの新作!嬉しくてでも一気読みするのは勿体無いからゆっくり読みました。相変わらず樋口は気遣いの人です。周りからの評価に戸惑いつつも、信念を曲げない格好良さが好きです。
読了日:9月18日 著者:今野敏


ランドリー (双葉文庫)ランドリー (双葉文庫)
何とも切ない物語でした。泣くことは無かったですが、2人がどうなるのか気になって一気読みでした。
読了日:9月19日 著者:森淳一


残り全部バケーション (集英社文庫)残り全部バケーション (集英社文庫)
新しい話になる度に「誰の話?」と戸惑って、最後まで読むとスキッと全てが繋がってまとまる感じは、この作家さんの得意な手法ですけど、何度読んでもはまってしまいます。裏稼業の部分は決して褒められることではないですけど、憎めない人たちばかりで、読み終わるとなぜかほっこりしてしまいます。
読了日:9月23日 著者:伊坂幸太郎


千年鬼 (徳間文庫)千年鬼 (徳間文庫)
人って簡単に鬼にもなれるし優しくもなれるんだと改めて教えられた気がしました。最後の話では涙涙でボロボロになってしまいましたが、小鬼と民の関わりが暖かくて素敵で、読んで良かったと思えました。
読了日:9月30日 著者:西條奈加




全部で9冊でした。最近にしては読んだ方ですが、あっさり読める作品が多かった割には少ないかな?

特に印象に残ったのは「廉恥」「千年鬼」です。

posted by DONA at 15:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ