2016年06月28日

新宮広明「サマーキャンプ 潜入捜査官・高階紗香の慟哭」

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 新宮広明 著
 「サマーキャンプ 潜入捜査官・高階紗香の慟哭」
 (幻冬舎)


1人目は東京立川に住む主婦。1年前に5歳の息子を幼稚園に預けたまま忽然と姿を消した。2人目は急成長中のディベロッパー勤務エリート社員。彼は半年前、職場のトイレで自殺。そして先々週、司法書士が幹線道路でダンプカーに轢かれ死んだ。一見何の事件性も関係もない3人の残された持ち物からは新興宗教「聖浄心会」のチラシが発見された。謎の教団が事件に関与しているのか。警視庁捜査一課「特殊班4係」の極秘捜査開始。 集団心理の機微をうがつ、骨太社会派ミステリ。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。あらすじを見て面白そうだったので「本が好き」で献本申し込みしました。

帯に「読者は3回騙される!」と書いてありました。こんな風に書かれるとつい身構えてしまいますよね??何かある度に「ここが騙しなのか?」なんて疑いながら読みました。

始めはちょっと入りにくい雰囲気なのですが、高階が本格的に潜入した辺りからは一気に面白くなって引き込まれていく感じがしました。ずっと肩に力が入りながら読んでいく状態が続き、何度か分けないと疲れてしまいました。

ドラマとかで、こっそり忍び込んで何かを探し出す・・みたいな場面ではつい目をそらしてしまうくらい蚤の心臓を持つ私としては、潜入捜査官の話はドキドキが止まらなくなってしまうんですよね。


潜入先は、新興宗教「聖浄心会」。なんだかありそうな名前ですね。キリスト教と仏教の良いとこどりしたような宗教。ってそのまんまやん!と突っ込みを入れたくなるような名前です。

宗教の内容としては何とも薄っぺらい教え!と思うのですが、人間って弱いのに強がるくせがあるせいで、心が折れやすくてつぶれやすい。だからこんな薄っぺらい宗教でも心に訴えかけるような何かがあればはまってしまうのはわかる気はします。

この教団が殺人に関わっているのか?というのが一番の謎なのですが、それよりも教祖の存在すらも謎。どんな教団でも教祖って大事で、その人物を全面に押し出して崇め奉るようにして成り立っていくものだと思うのですが、「聖浄心会」はほとんどの人が教祖を見たことがないという。

まあそのシステムのお陰(?)で謎は深まるし、事件も起きるし、潜入しやすいし・・となるわけですが。


殺人の動機と犯人については、同情はしませんが辛すぎて、読み終わってからもしばらく心が痛い感じがしました。安易な気持ちで起こした事件が色んな人の人生を狂わせてしまう。本当に辛い事件でした。

決して後味の良い話ではありませんが、最後まで楽しめました。楽しめた、と書くのがためらわれるような内容なので難しいですが。


社会派ミステリ、というよりも警察小説が好きな人なら楽しめるかと思います。後味は悪いので、口直しの本を用意してから読まれることをお勧めします。


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タグ:新宮広明

2016年06月24日

椹野道流「最後の晩ごはん 小説家と冷やし中華」

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 椹野道流 著
 「最後の晩ごはん 小説家と冷やし中華」
 (角川文庫)


兵庫県芦屋市。この街に、定食屋「ばんめし屋」はある。夜のみ営業、メニューは日替わり一種のみ、幽霊すらも常連客・・。この不思議な店で、元イケメン俳優の五十嵐海里は、ただいま料理修行中。芸能人としての挫折を乗り越え、常連客で小説家の淡海とも仲良くなり、順風満帆、と思いきや、後輩の若手俳優・里中李英が店を訪れたことで、再び嵐に巻き込まれ・・。人の優しさと美味しいごはんに癒される、泣けるお料理青春小説。−裏表紙より−


マスコミというのはしつこい物なんですね。現実でもワイドショーを見ていると「まだこの話題か・・」とあきれるくらいしつこく報道していることがありますもんね・・。

海里のことも、一旦下火になったかと思ったら、居場所が見つかったせいで再燃してしまいました。でも、騒動以来、めっきり大人になった彼は大人の対応でうまく切り抜けて見せます。

現実の芸能人や政治家たちも、こんな風にきちんと説明して、謝罪すべきは謝罪しておけば、もっとあっさりした報道で終われるのに、としみじみ感じてしまいました。不倫やら政治資金の使い道やら・・。


今回の話の中心となるのは、常連客の小説家。彼はある理由で冷やし中華が食べられません。どうして食べられなくなったのか、は霊の話になるわけですが。

メガネのロイド(読んでいない人にはわからないでしょうが)も活躍して、霊のことも、小説家のことも万事解決!その瞬間にはほろりとさせられました。

彼の人生はなかなか大変だったようです。

もう一つ気になるのは、定食屋の主人・夏神のこと。彼も毎晩うなされてしまうくらい、何か重い物を抱えているようです。とても気になりますが、海里は「本人が話してくれるまで待つ」と言っているので、待つしかなさそうです。

みんな良い奴ばかりなので、みんなに幸せになってもらいたいものです。


<最後の晩ごはん>
「ふるさとだし巻き卵」


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2016年06月22日

天野頌子「よろず占い処 陰陽屋猫たたり」

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 天野頌子 著
 「よろず占い処 陰陽屋猫たたり」
 (ポプラ文庫ピュアフル)


傷心の妖狐高校生、沢崎瞬太の夏休みは今年も補習とともに始まった。まったくやる気の出ないなか、陰陽屋に持ち込まれたのはアラフォー女子の恋愛相談。冷たい対応の店主安部祥明に対して、やけに相談者に感情移入する瞬太だがその理由は・・?また、行方をくらましていたバーテンダー葛城が帰ってきた。頼まれていた人捜しにも進展があり、化けギツネの仲間にぐっと近づいた瞬太たちなのだった。すっかりおなじみになった珍妙コンビの人気シリーズ第七弾!−裏表紙より−


シリーズも7作目になり、このほのぼの感に飽きて来てしまいました・・。

でも本当はまだ続くんですよね〜。

とりあえず、瞬太の仲間が出てきそうで出てこないまま進んでいきますし、片思いの相手との関係については「もうあきらめたら?」と冷たく思ってしまうくらいどうでもよくなっていますし・・。

今回もあまり大きな進展がないまま終わってしまいました。

瞬太の留年問題だけは何とかクリアできましたけど、まだまだ油断禁物です。

このシリーズはどうなったら終わりになるんでしょうね??ゴールが見えなくなりました。


続きはどうしようかな?? 

保留にしておきます。


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タグ:天野頌子

2016年06月16日

遠藤彩見「給食のおにいさん 受験」

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 遠藤彩見 著
 「給食のおにいさん 受験」
 (幻冬舎文庫)


夢を叶えるためホテルで働き始めた宗だったが、一流の味を学校に提供する「ホテル給食」課に配属される。渋々向かった女子高で彼を待っていたのは、舌の肥えた我がままなお嬢様ばかり。豪華な給食にも「太る!」と全く手をつけない。元給食のお兄さんのプライドに懸けて、宗は彼女達のお腹と心を満たすことができるのか。大人気シリーズ、第四弾!−裏表紙より−


前作の感想の最後で「給食作りをしている様子が読めないのがさみしい」と書きましたが、今回も給食作っていました!でも、その学校というのがお嬢様学校で、しかも中学生。かわいくない生徒が多かった・・。

結局また給食作りするなら、前のままで良かったのに、と思えるくらい変化がない感じがしました。毛利も出てきて活躍しますしね〜。

前作までいた小学校では教師たちも協力的でしたが、今回の学校ではなかなか厳しい状況。「ホテル給食」を売りにしているはずなのに、残食が多くてこのままだったら打ち切り!という展開になっていました。「ホテル給食」をやめるのではなく、作っているホテルを変更するぞ!という状況。

その割には、教師は手伝ってくれないどころか、1人のシスターが校長よりも幅を利かせていて、何をやってもダメ出しされてしまいます。

閉鎖的な女子校、しかもお嬢様学校となると、生徒たちの感じる世界が狭くなるのも当然で、みんな人間関係に悩み苦しんでいます。中学生なのにかわいげのない感じなのはそのせいかもしれませんが、お金持ちに対する僻みなのか、同情できませんでした。

高級食材を使って、ホテルのシェフに作ってもらって「太るから」と食べないなんて、我がままが過ぎるでしょ!と腹の立つ場面が多かったですし、ささめや毛利がどうすれば食べてもらえるか?と心を砕くのが空しくて見ていられない感じでした。

で?結局ささめは今後どうするの?? 店を持つつもりはあるの? 彼の今後は気になりますが、次回もこんな感じで同じ学校の給食作りをするなら読むのはどうしようかな?と思ってしまいます。


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タグ:遠藤彩見
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2016年06月14日

買った本

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 大門剛明 著
 「不協和音」
 (PHP文芸文庫)


お気に入りの作家さん。面白かったら良いな。


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 森沢明夫 著
 「夏美のホタル」
 (角川文庫)


映画化されたのかな?映画はともかく、面白そうだったので購入しました。

2016年06月13日

大沼紀子「真夜中のパン屋さん 午前4時の共犯者」

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 大沼紀子 著
 「真夜中のパン屋さん 午前4時の共犯者」
 (ポプラ文庫)


真夜中に開店する不思議なパン屋「ブランジェリークレバヤシ」に、手から白いハトを出す怪しげな中年男が現れる。それが店を揺るがす大騒動の幕開けだった。一方、母親と久しぶりの対面を果たした希実だったが、その隣にいたのは実に意外な人物で・・。人気シリーズ第5弾!!−裏表紙より−


このシリーズ、今までもそこまでページ数は少なくなかったのですが、今回はかなりぶ厚くて持ち歩くのが嫌で、地道に家で読み進めました。そのせいもあるのか、なかなか話に入り込めず。読み始めてから時間がかかりました・・。

前作も重かったと思うのですが、今回もかなり重い内容。当事者である希実は意外とクールな部分もあるのですが、周りがバタバタしすぎ。ある意味不器用な人たちで微笑ましいともいえるのですが、話の流れが悪くなっているのは彼らのせいでは?と思うと、イライラすることもありました。

過去に色々あった人が多いせいか、ずっと暗い記述が続き、こんな不幸がありました”私はこんなことで悩んで落ち込んでこうなりました”が多くて読みにくかったです。

もっと省けるところがあったのではないか?と思います。


今回は希実の出生の秘密が明らかにされる回で、父親が誰なのか、二転三転する展開でした。相変わらず軽いノリの母親にはついていけず。希実が何度も「母親はこういう人だから」と諦めるのがかわいそうでたまりませんでした。

しっかりしろよ!と揺さぶりたくなるような情けない母親。「意外と愛情があったようで良かった」という感想を書かれている方がおられましたが、私はそうは思えませんでした。希実のために、というよりあくまでも自分自身のために行動しているようにしか思えません。


たぶん、シリーズは後1作あるのでしょうが、今回で終わりでも良いのでは?と思えるような内容でした。これ以上何も起こらないことを願います・・。


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タグ:大沼紀子
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2016年06月09日

碧野圭「書店ガール5 ラノベとブンガク」

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 碧野圭 著
 「書店ガール5 ラノベとブンガク」
 (PHP文芸文庫)


取手駅構内の小さな書店の店長に抜擢された彩加。しかし意気込んで並べた本の売れ行きは悪く、店員たちの心もつかめない。一方、ライトノベル編集者の小幡伸光は、新人賞作家の受賞辞退、編集者による原稿改ざん騒動などトラブル続きの中、期待の新人作家との打合せのために取手を訪れる。彩加と伸光が出会った時、思わぬ事実が発覚し・・。書店を舞台としたお仕事エンタテインメント第五弾。−裏表紙より−

シリーズ5作目。主役が代わってからは2作目です。今回は前作に出てきた愛奈はほとんど出てこない状態。彩加がメインになっています。もう1人はガール″ではなく男性で、1作目から活躍していた亜紀の旦那さん・伸光。この2人の話になっています。


彩加は社員となって、新しい環境で働き始めました。駅構内の小さな書店。店員と客のコミュニケーションはほとんど無く、ただ商品のやり取りをしているだけの空しい日々。自分が作った棚も本が全く動きません。

店長として、部下たちに慕われているのかどうかさえも分からず、毎日悶々と過ごしています。そこでがっくりと落ち込んで動けなくなるのではなく、ちょっとしたことをきっかけにして良いアイディアを思いついて実行に移し、それが成功していくところはさすが!と思いましたし、その行動力が羨ましかったです・・。

やはり本や書店に対する愛情が深いから動けるんでしょうね。そこまで打ち込める何かがあるって良いですね。


伸光も新しい部署で働き始めています。ラノベという伸光にとって未知のジャンル。そこでの編集長は彼には重い仕事になりました。でも彼には書店員の妻が、しかもカリスマ店員の妻がいるわけですから、彼女の力も借りて乗り越えていきます。

彩加ともうまくタッグをくんで、お互いに助け合う形で、ある新人作家をデビューさせていきます。この作家が書いたデビュー作も読んでみたいと思いました。最近、王道のファンタジー読んでないな・・。

この作品を読むと、あまり知らなかったラノベの実態というか事情を色々知ることができてその点でも面白かったです。


さ、次はどんな問題が起こるのかな?彩加も落ち着いてきたし、次は新人作家さんにスポットが当たるのかな?? とにかく楽しみです。


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2016年06月08日

伊吹有喜「なでし子物語」

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 伊吹有喜 著
 「なでし子物語」
 (ポプラ文庫)


いじめに遭っている少女・燿子、居所のない思いを抱え過去の思い出の中にだけ生きている未亡人・照子、生い立ちゆえの重圧やいじめい苦しむ少年・立海。三人の出会いが、それぞれの人生を少しずつ動かし始める。言葉にならない祈りを掬い取る、温かく、強く、優しい物語。−裏表紙より−


「外の世界は男の世界。女は何も知らなくていい」なんていう時代錯誤な考えを持つ由緒ある一族の話で、強く生きたいと願う女性と、それを頭ごなしに押さえつけてしまう男性という嫌な構図になっていました。

でも登場人物たちの懸命さは読んでいて心地よくて、みんな応援したくなるような人ばかりでした。

一見偏屈そうに思える一族の家を守る未亡人・照子。彼女は亡き夫の思い出の中に生きているような女性で、使用人からは慕われてはいますが、本人は無関心である意味世捨て人のような状態です。

母親から捨てられて、父親もいなくて祖父に育てられることになった少女・燿子。お金が無いというよりも、子育てに無関心な祖父のお陰で、服が汚れていたり体が汚れていたりしているため、同級生からひどいいじめを受けている彼女。勉強も追いつかなくて、学校に通うにもやめてしまいました。

一族の主人である父に田舎暮らしをさせられることになった少年・立海。体の弱い息子(跡取り)を心配して、田舎で過ごさせようというのはわかるのですが、更には伝統に従って女装もさせます。当然、いじめの対象になるわけで。彼の場合は病弱なこともあって、学校へは通わず、家庭教師をつけて勉強をしています。


この3人が照子が仕切っている田舎の家で出会い、それぞれを気にかけているうちに癒されながら過ごしていきます。

子どもの2人はお互いの事情など全くわかっていないのですが、どこか達観している部分もあって、子どもらしくない雰囲気すらありました。2人で過ごしているうちに子どもらしさを取り戻していくのを微笑ましく思いながら読みました。

そんな彼女たちを見ているうちに、照子も穏やかになっていくのが素敵でした。

静かな良い雰囲気の内容にほのぼのしているうちに、当然ながら一族のドン登場! まあこのまま穏やかに静かに終わったら何だったのか?だよね・・と思いつつも、あまりの理不尽さに怒りがわきました。

それでも子どもは強いもので、どうやら今後も前を向いて生きていけそうな感じ。そこだけは良かったと思えました。


立海の家庭教師が言った言葉が素敵だったので書いておきます。


「自立と自律」
自立、かおを上げて生きること
自律、うつくしく生きること、あたらしいじぶんをつくること。


嫌なことがあったときに目を閉じて下を向いてやり過ごしていた燿子に対して「強くなりなさい!」と教えた言葉です。どんな環境にいても強く生きていこうと思ったら乗り越えていける! 私も心に刻みたい言葉です。


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2016年06月06日

奥田英朗「家日和」

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 奥田英朗 著
 「家日和」
 (集英社文庫)


会社が突然倒産し、いきなり主夫になってしまったサラリーマン。内職先の若い担当を意識し始めた途端、変な夢を見るようになった主婦。急にロハスに凝り始めた妻と隣人たちに困惑する作家などなど。日々の暮らしの中、ちょっとした瞬間に、少しだけ心を揺るがす「明るい隙間」を感じた人たちは・・。今そこに、あなたのそばにある、現代の家族の肖像をやさしくあったかい筆致で描く傑作短編集。−裏表紙より−


サニーデイ」「ここが青山(せいざん)」「家においでよ」「グレープフルーツ・モンスター」「夫とカーテン」「妻と玄米御飯」の6編収録されています。

題名の通り、家の中で起こる様々な日常を描いた作品で、特別大きな事件が起きるわけではないのですが、「あるある」「わかるわ〜」というような誰にでも起こりそうなちょっとした出来事が面白おかしく書かれていてサクサク読み切ることができました。

どれも結構面白かったのですが、特に気に入ったのは「サニーデイ」「ここが青山」「家においでよ」です。

サニーデイ」は子どもも少し大きくなって手が離れるようになり、毎日時間ができた主婦の話です。彼女は家族から感謝もされない日々に怒りというか虚しさを感じるようになっています。ふと家を片付けようと思ったときに勧められたネットオークションにどんどんはまっていきます。迅速な対応をしたことで、相手から高評価をもらえることに快感を覚え、家を片付ける目的から褒められたい、評価されたいという欲求を満たす目的へと変化していきます。

売りたい物なんて意外と早くなくなるもので、そのうち夫の大事にしている物にまで手を出すのは納得できます。満たされない日々を埋めるためのオークション。何だか妙に共感してしまいました。


ここが青山」は突然会社が倒産して失業した男性の話です。うろたえてしまうはずの出来事ですが、意外とあっさり受け止めた彼。そして何より冷静だったのはその妻。あっさりと結婚前まで働いていた会社に復帰することを決め、当然のように働き始めます。夫はあっさり主夫に。この話では何より奥さんが素敵でした。こんな風に冷静に対処できたらどんなに良いか。

ちなみに「ここが青山」というのは「人間至る処青山有り」という言葉から来ています。失業した夫が周りの人から何度も聞かされる言葉です。「世の中は広く、死んで骨を埋める場所ぐらいどこにでもあるのだから、大望を成し遂げるためにならどこにでも行って、大いに活躍するべきであるということ」だそうですよ。


家においでよ」は離婚を考えた男性が、妻の出て行ったガランとした我が家を見てインテリアや趣味などの道具を自分の好きなようにそろえていく話です。この話を読んでも妻がどれほどの力を持っていたのかはっきり書かれていないのですが、夫のはじけぶりを読むとよほど我慢させられていたんだな〜と感心するほどでした。

既婚男性にとっては憧れの話なんじゃないかな? 独身の私でもちょっとうらやましくなりました。


家シリーズとしていくつか出ているようなので他も読んでみたいです。


最後に自分が気になって調べた言葉を書いておきます。
ロハスとは? 「LOHAS」と書く、Lifestyles of Health and Sustainability の頭文字をとった略語。健康と環境、持続可能な社会生活を心がける生活スタイルのこと。


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タグ:奥田英朗
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2016年06月02日

薬丸岳「その鏡は、嘘をつく」

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 薬丸岳 著
 「その鏡は、嘘をつく」
 (講談社文庫)


鏡ばかりの部屋で発見されたエリート医師の遺体。自殺とされたその死を、検事・志藤は他殺と疑う。その頃、東池袋署の刑事・夏目は同日現場近くで起こった不可解な集団暴行事件を調べていた。事件の鍵を握るのは未来を捨てた青年と予備校女性講師。人間の心の奥底に光を当てる、著者ならではの極上ミステリー。−裏表紙より−

帯に「泣かずにはいられない」と書かれていましたが、「泣かずに」居られました・・・。泣くというよりも、嫌悪感が強くて、ずっと気分が悪い状態で読み進めました。

夏目刑事シリーズ第2弾で、「刑事のまなざし」の続編です。

夏目刑事の刑事らしくない雰囲気が気に入っていたのですが、この作品ではあまり彼の刑事らしくない部分は出てこなくて、ただただ変な刑事という扱いになっていました。

彼よりも、検事・志藤の方が重要な役目を果たした感じでした。この人も色々と抱えているようですが。きっと彼の話もまた出てくるでしょう。


今回の被害者となった男性・エリート医師は、始めは「エリート」と付く割には良い人なのかも?と思えたのですが、だんだん印象が悪くなっていきました。

最終的には殺されても仕方がない、とまでは言いませんが、それに近い感情さえ沸いてしまうくらい。

加害者やある意味、彼にひどい仕打ちをされた被害者たちがかわいそうで、罪を犯さないといけなかった彼らに同情してしまいました。


関係者のほとんどは医療関係の人たちで、実家が病院だから子どもに継がせようと必死になっていたり、当たり前のように継がされていたり、「お医者さんって人助けして立派な仕事で素敵」と気軽に言えないような苦しみを味わっている人たちばかりです。

金銭的に苦労しないで済む分、親からかけられるプレッシャーに耐え切れなくて壊れそうになる子どもや、なりたい物になれない金銭面の苦労がある子ども、医師になっても周りからの圧力に負けてしまう人など、読んでいて苦しい描写もたくさんありました。

相変わらず読んでいて暗く、重い雰囲気になっていく作品でした。

それでもまだ「医師」という自分とはかけ離れた世界の話だったせいか、今までの作品よりは重くなりすぎずに読み切ることができました。


次は何を読もうか? 今度はあまり間をあけなくても読めそうです。


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2016年06月01日

5月のまとめ

鍋奉行犯科帳 (集英社文庫)鍋奉行犯科帳 (集英社文庫)
ニヤニヤしながら読みました。面白かったです。食べて飲んで寝転んで何も考えていなさそうなのに、意外とするどい奉行に惚れました。身近にはいて欲しくないですが…。
読了日:5月2日 著者:田中啓文


給食のおにいさん 卒業 (幻冬舎文庫)給食のおにいさん 卒業 (幻冬舎文庫)
とうとう卒業・・辞めると決めてからも具体案がなかなか出てこない所がささめらしいといえるかも。苦悩しながらも何とか道を見つけて進むことになりました。最後はまさかの号泣させられてしまいました・・。
読了日:5月7日 著者:遠藤彩見


最後の晩ごはん ふるさととだし巻き卵 (角川文庫)最後の晩ごはん ふるさととだし巻き卵 (角川文庫)
幽霊やら何やら出てきて意外な展開になってびっくりしました。それでも元俳優の海里がどうなっていくのか気になって次々読んでしまいました。続きも楽しみです。
読了日:5月9日 著者:椹野道流


触法少女 (徳間文庫)触法少女 (徳間文庫)
虐待され捨てられた過去を持つ九子にどんな気持ちをもてば良いのかわからない状態で読み進めました。どんな人でも殺してはいけないのはわかりますが、殺したくなったのは仕方ない気もしました(実際にはわかっていないのかもしれませんが)。とにかく後味も悪いし、途中も何度も顔をしかめましたし、暗い気持ちになる話でした。結局誰も救われていない・・。
読了日:5月13日 著者:ヒキタクニオ


さくら舞う―立場茶屋おりき (角川春樹事務所 (時代小説文庫))さくら舞う―立場茶屋おりき (角川春樹事務所 (時代小説文庫))
おりきさんが清楚で立ち姿がスッとした女性のイメージで頭の中に浮かんでいました。その姿がぴったりするくらい情の厚い素敵な女性でした。江戸言葉なのか、読みにくい言葉がたくさん出てきてひっかかることも多かったですが、話は面白くて楽しめました。シリーズ追います。
読了日:5月18日 著者:今井絵美子


あきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫)あきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫)
毎晩ちょっとずつ読んでいたら時間がかかりました。でもとても面白かったです。幸の賢さと素直さを微笑ましく読み進めました。最後の展開は嫌な予感しかしませんが、続きを楽しみに待つことにします。
読了日:5月25日 著者:田郁


その鏡は嘘をつく (講談社文庫)その鏡は嘘をつく (講談社文庫)
夏目刑事らしさ、みたいなものはちょっと薄めでしたが、やはり良い意味で刑事らしくない所が素敵でした。被害者のやったことには嫌悪以外沸きませんでした。容疑者が二転三転するのは面白かったです。いつもの薬丸作品よりは重くなかったかな?
読了日:5月26日 著者:薬丸岳


家日和 (集英社文庫)家日和 (集英社文庫)
家庭内には外からはわからない様々な事情があって、日々少しのことに一喜一憂しながら生きているだということを改めて思わされました。女性目線の話は特に共感しながら読みました。特にネットオークションにはまる主婦の話は面白かったです。私ははまっていませんが、はまっていく彼女の気持ちには激しく共感しました。
読了日:5月30日 著者:奥田英朗


書店ガール 5 (PHP文芸文庫)書店ガール 5 (PHP文芸文庫)
一気に読み切りました。新しい環境で、客層もニーズも違う店の店長を任され、がんばる彩加の物語。亜紀の旦那さんのがんばる姿も見られて面白かったです。ラノベってこうやって売れていくんだなということもわかりました。
読了日:5月31日 著者:碧野圭



久しぶりに9冊読めました。まあ、あっさり読める本が多かったせいもあるかもしれませんが。

特に印象に残ったのは「あきない世傳 源流篇」「書店ガール5」です。

posted by DONA at 15:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ