2015年11月24日

原田マハ「ジヴェルニーの食卓」

978-4-08-745327-0.jpg

 原田マハ 著
 「ジヴェルニーの食卓」
 (集英社文庫)


ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けたクロード・モネ。その傍には義理の娘、ブランシュがいた。身を持ち崩したパトロン一家を引き取り、政策を続けた彼の目には何が映っていたのか。(「ジヴェルニーの食卓」)新しい美を求め、時代を切り拓いた芸術家の人生が色鮮やかに蘇る。マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌら印象派たちの、葛藤と作品への真摯な姿を描いた四つの物語。−裏表紙より−


うつくしい墓」「エトワール」「タンギー爺さん」「ジヴェルニーの食卓」の4編収録されています。それぞれ、アンリ・マティス、エドガー・ドガ、ポール・セザンヌ、クロード・モネの物語です。

西洋美術に疎い人でも名前くらいは聞いたことがあるであろう有名な画家たちですね。


4人の画家の人生を、彼らに深く関わった女性たちの視点で見た物語として描かれている話で、画家自身の視点で描かれていない分、よりリアルで客観的に感じられました。

どんな作品を描くのか、特にマティスは思い出せなかったので調べて、絵を見ながら読みました。絵を見ながらの方が、より深く話が理解できる気がしました。

特にドガの「エトワール」は印象的でした。彼と同じ時代に女性画家として、しかもアメリカ人だということで、美術界ではなかなか認められず苦労もした、メアリー・カサットの視点で描かれた物語なのですが、ドガの人生というよりも、ドガの作品に描かれたバレリーナたちの人生に驚かされてしまいました。

「エトワール」とは星のことで、「スター」を意味します。バレリーナとしてスターを目指すまだ幼い少女たちの人生は、読んでいて同じ女性として辛かったです。これを読んでから「エトワール」の絵を見ると、かなりゾッとさせられます。


表題作も印象的でした。「睡蓮」で有名なモネですが、彼が作り上げたジヴェルニーの庭をどれだけ愛し、どんな想いで絵を描き上げたのか、彼を支えた義理の娘・ブランシュの人生を含めて、ちょっと泣けてくる物語でした。

これだけ誰かを崇拝して、人生を賭して尽くせる相手がいるって幸せなことだろうとうらやましくもあり、自分の人生を後回しにすることはある意味悲しいことなのかもしれないとも思えて、複雑な心境になりました。

これらの話が、どこまで史実に基づいているのかはわかりませんが、ますます西洋絵画に、画家たちに興味をもちました。とにかく、美術館に絵を見に行きたくなります。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 14:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:原田マハ

2015年11月17日

葉室麟「風かおる」

9251.jpg

 葉室麟 著
 「風かおる」
 (幻冬舎出版)


父・佐十郎の元に届いた果たし状。鍼灸医の菜摘は、重病の身で果し合いに出かけようとする佐十郎を止めようと、弟・誠之助と男装の美少女・千沙と共に差出人の正体を探りはじめる。調べを進めるうち、かつて佐十郎と出世を競い、今や藩の重鎮となった三人の男たちに辿りつくが・・・・・・。なぜ養父は、妻敵討ちにでなければならなかったのか。明かされる、養父の知られざる過去とは? 人が生きることの哀歓を描く、胸を衝く傑作時代小説。−出版社HPより−

初めましての作家さんです。時代小説を久しぶりに読んでみたくて、新しい作家さんにも出会いたくて、、「本が好き」で献本申し込みしました。

帯の文章を読むと、恋愛物っぽかったので心配でしたが、読み進めるとミステリー色が強くて安心しました。


鍼灸医をしている菜摘が治療に呼ばれて行った先に、十年会っていなかった養父の姿がありました。養父は「妻敵討ち」の旅をして帰ってきた所でした。「妻敵討ち」とは、妻と駆け落ちした相手を討つことです。親や子の敵討ちはよく聞きますが、妻でもあるんですね。この時代ならではです。

不治の病で、手の施しようもない状態になっている養父が「妻敵討ちは謀られたことだった」と言い、敵討ちをさせた相手と果し合いをすることになっていると聞き、菜摘は何とかして止めようと調査を始めます。

部屋住みで暇な弟と彼に想いを寄せている千沙に頼んで、何とか事情を知ろうと聞き込みをしてもらうのですが、なかなか真実が見えてきません。

この2人の調査は読んでいてももどかしくて、チラッと話を聞いて、改めて菜摘が同じ人に話を聞く、という何とも手間のかかる状態。そこまでしても、結局3人にはほとんど何もわからず。残りページが少なくなった頃、やっと家に戻ってきた菜摘の夫・亮がほぼすべてを解き明かします。サッサと帰ってきたらいいのに!と思ってしまいました。確かに出張先での調査は必要だったんですけどね・・。


菜摘の弟と千沙のことなど、事件と関係ない内容も多く、もっとすっきり短く濃い内容にもできたのではないかな?と思ってしまいました。

また、1人犬死としか思えない死に方をした人物もいて、彼の存在は哀れでした・・。何も殺さなくても・・。まあこの物語はほぼすべてがそういう気持ちにさせられうのですが。

この時代の恋愛はどうしても、当人同士の望みどおりにはならないので、悲恋が多いですね。ある意味一途だった、キレイな恋だったと言えなくもないですが、やり方が納得できませんでした。誰か1人が真実を話していれば、何か一つきっかけさえあれば、違う結末があっただろうと思うと辛かったです。


初めて読んだ作家さんでしたが、文章は読みやすかったです。時代小説らしくない気もしましたが。軽く読めるので、時代小説に慣れない人にも読みやすいかもしれません。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

タグ:葉室麟

2015年11月02日

10月のまとめ

書店猫ハムレットの跳躍 (創元推理文庫)書店猫ハムレットの跳躍 (創元推理文庫)
途中、何度か「2作目か?」と思う記述があって、でも第一弾になっているし・・と混乱してしまいました。本当は2作目だったようですね。これから読んでも大丈夫ではありますが、ハムレットが初めにどうやって事件を解決したのか?とても気になりました。主人公はともかく、他の人たちが魅力的でしたし、ハムレットがかわいかったので気に入りました。
読了日:10月4日 著者:アリ・ブランドン


任侠病院 (中公文庫 こ)任侠病院 (中公文庫)
やっぱり面白い!大好きなシリーズです。表紙の絵が変わりすぎて驚きましたが。呑気そうに見せて実は緻密なオヤジさんと、苦労性の日村は最高のコンビです。今回も痛快で、スッキリしました。次はどんな業界に手を出すのか?楽しみです。
読了日:10月8日 著者:今野敏


SROVI - 四重人格 (中公文庫)SROVI - 四重人格 (中公文庫)
房子おばさんで免疫ができてしまったせいか、今回のシリアルキラーに対してあまりエグさを感じませんでした。うん、まあそんなこともあるだろうね、みたいな感覚になった自分が一番怖かったかも。それにしても、また新たに面白いキャラが出ました!こんなにそれぞれの人格がしっかり主張したら大変だろうな・・いや、逆にやりやすいのか?とかつまらないことを考えてしまいました。
読了日:10月16日 著者:富樫倫太郎


ロスジェネの逆襲 (文春文庫)ロスジェネの逆襲 (文春文庫)
ドラマがあまりにもヒットしたせいで、ちょっと距離をおきたくなっていたシリーズですが、読み始めると止まりません!半沢にケンカを吹っかけようとするバンカーたちの情けなさ、そして、相変わらずブレずにかっこいい半沢にワクワクしながら読みました。うん、スッキリした!
読了日:10月27日 著者:池井戸潤



またもや4冊・・・。今回は読み応えのある本ばかりではありましたが。帰宅後にも読書時間を取るようにしてみたのが良かったのかも。でもそうするとHDDがいっぱいになるんだよな・・。

印象に残ったのは、「任侠病院」「ロスジェネの逆襲」です。

posted by DONA at 15:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ